2012年01月14日
シフのバッハ:鍵盤楽器作品全集
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今や押しも押されぬ一級の演奏家の仲間入りしているアンドラーシュ・シフが、30歳代の頃に録音したアルバム。
ピアノによるバッハ演奏の、最も現代人の感覚にぴったりくるのがシフの演奏だろう。
ここに聴くシフのピアノは、とにかく音色に磨き抜かれたような美しさがあり、1音聴いただけで、その魅力にひきこまれてしまう。
リズムの良さにも水際立ったものがあり、磨かれ、粒をきれいに揃えた音と、軽やかな運びで、シフはバッハの鍵盤曲全体を、自然な姿に整える。
テクニックもスムースで、バッハの音楽に対する各種様式観にもバランスのとれた配慮が行き届いており、間然としたところがない。
チェンバロによる、オリジナルを重視する演奏とは実に大きく隔たっている。
それでも、聴いて正しくないなんて言う気には決してならないはず。
演奏会で取り上げることは少ないにせよ、名ピアニストほどバッハ作品を見事に弾いている。
もしバッハがピアノとすぐれたピアニストを知っていたら、強くそれを希望したに違いないと思えるくらい、バッハの本質はここにあると感じられる。
20世紀末の人間の感覚とバロックの巨人が求めた技の、重なり合うところに、シフの演奏が成立している。
粒立ちのよい音で、色彩豊かに展開されるバッハは、実に新鮮な感覚に満ちあふれており、今日のバッハ演奏を代表するものの一つといっても、決して過言ではないだろう。
それに、実をいえばグールドじゃないところも大きな魅力だ。
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