2012年01月23日
鈴木秀美のバッハ:無伴奏チェロ組曲
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《無伴奏チェロ組曲》の決定的な名盤となれば、躊躇なくフルニエのふたつの録音を挙げたいが、もうひとつとなれば、やはりこれだ。
名演の多い作品だが、ここでは歴史楽器を使用してバッハ音楽の神髄を見事に表現した演奏を聴きたい。
鈴木秀美の師匠格にあたるアンナー・ビルスマの演奏も見事だが、鈴木の演奏に漲る音楽性の豊かさはそれを凌ぐ。
モダン楽器奏者は一様に名器と呼ばれる愛奏楽器を使って極上の美音を追求するが、鈴木は個々の音楽に最適な楽器の選択も重視する。
バッハの意図を十全に表現しようとする目に見えない努力と演奏家魂の現れだ。
使用楽器はアマティ。
師のビルスマの確立したバロック・チェロの奏法やイディオムを縦横に駆使して、100%鈴木秀美の音楽世界が開示されている。
それは質朴なビルスマのそれに対して情熱的かつ雄弁、そして妖艶なまでの香りを放っている。
敢えて言えば、鈴木はロストロポーヴィチのテクニックとビルスマの解釈姿勢を自己のものとして消化している。
決して衒学的にならず、自然な呼吸法のなかで最も音楽的な表現を追求した結果として美しいバッハがここに展開する。
近年、指揮者としての活動も注目される鈴木秀美の、優れたチェリストであると同時に、豊かな音楽性と際立った個性をそなえた総合的な音楽家としての側面があますところなく示されている。
"語る音楽"を基本とし、深い洞察と豊富なアイディアによる演奏は、聴き手のイマジネーションを刺激せずにはおかない。
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