2012年01月21日
グリュミオーのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ
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グリュミオー唯一のバッハ《無伴奏》録音。
グリュミオー最盛期の録音(1960〜61年)だけに、ぐいぐいと迫力をもって音楽を進めてゆき、しかもテクニックはいかなる難所でも揺るがない。
艶やかな音色と、伸びやかな響きはそれだけで大きな魅力だ。
そのようにして彼がリアライズしていくバッハの音楽には、ある種の奔放さがあるが、それは構成にメリハリをつけるためのものであって、恣意性を感じさせるものではない。
古楽器的なイディオムとは違った、伝統的なバッハ観に基づいたロマンティックな演奏だが、グリュミオーの艶やかで柔らかな音色や、表情に富んだ生き生きとした音楽作りは魅力的だ。
それに演奏を覆う眩しいほどの気品はやはり彼ならではのもの。
グリュミオーはエネスコに師事したが、それはヴァイオリンではなく、主に作曲を学んだという。
エネスコの演奏と比較すると容易に判明することであるが、エネスコの解釈をほとんど完全に継承したこのグリュミオーのバッハは、独自の明晰で合理的な演奏解釈が打ち出されている点において、エネスコの元で育まれたグリュミオーの緻密な作曲家視点をも明瞭に浮き彫りにした演奏になっている。
ある時期のわが国では、グリュミオーは単なる美音家と捉えられていたこともあったが、この演奏では、ラテン的な発想のもとで作品の意味と本来のあり方に肉薄しようとするグリュミオーの真剣な意図を感じ取ることができる。
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