2012年01月26日
マイヤー&アルバン・ベルクSQのブラームス:クラリネット五重奏曲
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ブラームスのクラリネット五重奏曲のレコードでは、ウィーンの伝統を最も豊かに体現したウラッハの名盤が圧倒的な支持を集めてきたが、このザビーネ・マイヤーとアルバン・ベルク四重奏団による演奏こそ、クラリネットの奏法や演奏スタイルが大きく変化し、進歩した現在を代表するにふさわしい名演というべきだろう。
マイヤーは、この曲を1990年にウィーン弦楽六重奏団のメンバーと録音して、しなやかに洗練された演奏を聴かせてくれたが、アルバン・ベルク四重奏団という最強力の共演者を得たこの1998年のライヴ録音では、いっそう熱い共感にとんだ演奏を存分に繰り広げている。
強靭にして精緻精妙な表現を自在に織りなすアルバン・ベルクの4人もすばらしいが、マイヤーもそれに劣らず雄弁な演奏を柔軟に展開しており、ふくよかで豊かな音色としなやかに強い表現が見事にひとつになっている。
モノローグのような弱奏から弦を圧倒するような熱く輝かしい強奏まで、マイヤーのクラリネットの音と表現力の幅広さも驚異的である。
しかも、卓抜な技巧と表現力をもつ5人は、少しも神経質になることはなく、実演らしい見事な集中力で克明で濃密な表現を余裕をもって展開しており、細部まで繊細な神経が行き届いた演奏は、あくまで美しく洗練され、最晩年のブラームスにふさわしい澄んだ情感にもまったく不足を感じさせない。
これほど流麗で多様なニュアンスをもつ演奏もないだろう。
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