2012年02月08日
トスカニーニのヴェルディ:オテロ
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《オテロ》全曲盤中最も古い録音で、トスカニーニのヴェルディ・オペラの不滅の名盤。
この演奏についてレヴァインは「オペラ録音史上最高のもの」と言ったそうだが、これは確かに歴史的名演の名に値する数少ない録音のひとつである。
これは、まさしくトスカニーニの数ある演奏の中でも最も傑出した出来ばえを示すものであり、同時にこの偉大な指揮者の本質がこれほど見事に表われた例も少ない、と思われる演奏である。
このオペラの初演に19歳でチェロ奏者として参加したトスカニーニが80歳の時に録音した演奏で、晩年のオペラ録音の中でも比較的歌手にも恵まれており、特にヴィナイのオテロとヴァルデンゴのイアーゴが傑出している。
ヴィナイの圧倒的なオテロと取っ組んだトスカニーニの気迫の激しさも相当なものである。
トスカニーニ一流の強引なテンポの運び方もフレーズの波のようなうねらせ方も、息もつかせぬたたみ方のすさまじさも、ヴィナイは平然と受けて立つ。
ヴィナイは暗めの力強い声でオテロの英雄的な性格と悲劇を最も見事に表現しているが、それ以上に凄いのはいうまでもなくトスカニーニの指揮である。
厳しいデュナーミクと強靭なカンタービレによって全曲を強く一貫し、統一している。
冒頭から最後まで貫いている堅固な造形、劇的な緊迫感と迫力あふれる演奏は、音質を超越して深い感動に誘う。
また「愛の二重唱」における甘美な陶酔感の格調の高い表現もすばらしい。
そしてトスカニーニは、じっくり構えてヴェルディの後期の音楽の意味を教えてくれるのである。
ヴェルディ最後のイタリア・グランド・オペラがいかに完璧な作品であるかがわかる名演である。
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