2012年02月09日
リヒターのバッハ:ヨハネ受難曲
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リヒターによる当受難曲の唯一の録音。
現代においてもリヒターのバッハ演奏は高い評価を維持し続けている。
わけても《マタイ受難曲》(1958年)と《ヨハネ受難曲》は双璧。
同じキリストの受難を描くにしてもその感触と角度は異なる。
バッハのふたつの受難曲では、俗に《マタイ》のことをオペラティックといい、この《ヨハネ》のことをドラマティックと評している。
これは、《ヨハネ》に用いられているテキストが《マタイ》以上に聖書の言葉に忠実で、音楽よりもむしろ、物語としての流れが第一に考えられているからである。
ここでのリヒターは、いかにも彼らしい厳しい態度でまとめあげた演奏を行っている。
《マタイ》の演奏の時よりも、さらに人間的な味わいを強く出していて、それがこの演奏の完成度を高めている。
本盤ではリヒター特有の峻厳な解釈と鋭敏な表現の切り口と共に、内容が促すドラマティックな要素も添加させることに成功。
その要とも言うべきヘフリガー(福音史家)の張りのある伸びやかな歌いまわしは絶品。
人間味に溢れた劇性を重んじたかのような雰囲気が漂っているのが特長といえる。
リヒターによるバッハ演奏のディスクの中でも特に傑出したもののひとつだ。
リヒター固有の演奏哲学と美意識が結集されたこの演奏は、今後ともバイブル的な存在として語り継がれていくに疑いない。
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