2012年02月10日
フルトヴェングラーのベートーヴェン:交響曲第5番「運命」/ピアノ協奏曲第4番(ローマRAI盤)
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「第5」は1954年のスタジオ録音のスタイルを基本として、それに実演の味をつけ加えたもので、フルトヴェングラーの「第5」CDの中でも異彩を放っている注目盤。
その大きな原因はローマのオーケストラがフルトヴェングラーに慣れていないため、刻明な棒を振ったところにある。
第1楽章の動機など、1小節をきちんと2つに振っており、そのためにいちばん遅いテンポになっているし、主部も遅めだが、それが深い思索の足どりを示すのがユニークなのだ。
1952年1月のライヴなのに、すでに最晩年の趣がある。
オケが慣れていないというのも良いものだ。たどたどしささえプラスに作用しているからである。
第2テーマでのテンポの落とし方一つをとっても意味深く、いたるところで新機軸が見られる。
第2楽章も一つ一つの音符を丁寧に弾かせるので、テンポは遅くなり、リズムにはしゃべるような丹念さが生まれ、時には手探りの進行が内容的に感じられる。
スケルツォも同じだ。
切れの悪いテーマは語りかけるようで、少しも嫌味ではなく、木管の受け渡しは瞑想を湛え、再現部あたりのリタルダントは他のどのCDに比べても最も大きい。
間をあけずに入るフィナーレはほぼ普通のテンポで進み、緩急の動きはごくごく控え目だ。
コーダさえ落ち着いた理性的な表現で、およそフルトヴェングラーらしくないが、説得力は充分なものがある。
ピアノ協奏曲第4番におけるスカルピーニの表現はかなりハンゼンに似ており、ともにフルトヴェングラーの解釈下にあることを示している。
フルトヴェングラーの指揮も晩年のものだけあって、テンポの動きにせよ、ダイナミックスにせよ、ずっと落ち着いている。
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