2012年02月12日
カラヤンのブラームス:ドイツ・レクイエム(1983年盤)
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カラヤンが世を去る6年前の録音。
カラヤンのドイツ・レクイエムは映像も含めると6種類もある。
そのうちウィーン・フィルによる演奏のほうがベルリン・フィルを上回っているというのは興味深い。
本盤は演奏録音としては最後のもので、ここでは晩年のカラヤンの特長が顕著だ。
ウィーン・フィルの柔らかな音色と響きを効果的に引き立てるかのようにゆったりとした風情が漂う。
明らかにベルリン・フィルの構築的、ドラマティックなロマンティシズムとは異質の世界を描こうとしている。
カラヤンのクールな眼がすみずみまで行き渡った演奏で、自分の中のブラームスに問いかけているような《沈潜》が生まれている。
初期の録音では静的世界と動的世界の対比の上にブラームスの緊張度を拮抗させていたが、ここではドラマティックな対比は表面に出ず、あくまでカラヤンの内的ドラマとして処理される。
第6楽章が強い印象を残し、カラヤンならではの統率力で、演奏者たちをまとめ、実に激しい説得力のある演奏を示している。
とはいえ第4楽章の「あなたの住まいはなんと気持ちのいいことでしょう」のやさしさが、全曲の基調となっており、カラヤン晩年の内なる声を聴きとることができる。
あたかもカラヤン自身がこの音楽に"癒し"を求めているかのように…。
ヘンドリックス、ヴァン・ダムら、彼の目に適った独唱陣はともかく、合唱が少々モッタリしている。
しかしそれゆえにこそ、柔和な妙味が醸し出されるのである。
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