2012年02月28日
カラヤン&ウィーン・フィルのチャイコフスキー:交響曲第5番
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カラヤンがウィーン・フィルハーモニーを指揮した晩年のこの演奏は、雄大なスケールとメランコリックな美しさを過不足なく表現した比類のないもので、カラヤンの美学が端的に示された名盤として知られている。
現代的な感覚で処理しながらも、ロシア的情感を豊かに表出した演奏である。
ウィーン・フィルを指揮しているためか、力強さの中にも透明感と優美な感触がある。
オーケストラの表情にも厚みがあり、あたたかな感触が特徴で、もちろんカラヤンの個性も濃厚に表されている。
一点一画もおろそかにせず、徹底して練り上げたという点ではベルリン・フィルとの旧録音が面白いが、これはオーケストラの自発性を尊びながらも、自己の主張をはっきりと打ち出した演奏だ。
しかも無用な力みがなく、音楽によく感じたみずみずしい表情が随所に示されており、カラヤンの名人芸を随所に発揮しているが、後半の2楽章は表情がやや低徊的に沈みがちで、緊張度が弱い印象を与える。
晩年のカラヤンはオケをコントロール出来ていないとの批判が一般的であるが、筆者は違うと思う。
肩の力が抜けたと言ったらいいのだろうか。聴き手を意識した指揮から、無欲に内面に語りかけてくるような演奏だ。
いささかの無理も強引さもなく、オーケストラとともにこの作品を心をこめて歌い上げた透明なリリシズムの世界があり、本当に美しい。
何よりもカラヤンはチャイコフスキーに惚れ込んでいた指揮者であり、その生涯に5回も録音したが、この最後のウィーン・フィルとの演奏は、すべてを知り尽くした巨匠ならではの至芸が聴ける。
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