2012年03月02日
ケルテス&ウィーン・フィルのシューベルト:交響曲全集
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
インマゼール盤とともに、是非とも揃えておきたいのが、ケルテス&ウィーン・フィルの交響曲全集である。
「クラリネットとオーボエのユニゾンで奏される第1楽章第1主題の音色が、ハンガリーの民族楽器タロガトーの音を模したものであることがもっとも明確に分かる」とは、ケルテス&ウィーン・フィルによる「未完成」への中野雄氏のコメント(『クラシックCDの名盤』)である。
なるほどと感心したものの、未だタロガトーの本物の音は聴いたことがない。
ここに自らの不勉強をお詫びする。
それはそれとして、この全集の素晴らしさは一目瞭然だ。
ケルテスの音楽づくりは、まるで古楽器奏法を先取りしたような鋭いアタック、クライバー顔負けの鞭のようにしなるフレージングをもって、楽曲の構造を浮き彫りにするのを特徴とする。
ウィーン・フィルと共演しながら、ウィーン情緒と訣別した斬新さに秀でており、特に、初期作品でのシューベルトの前衛性が明らかにされていて面白い。
「第1」や「第2」など、滅多に演奏される作品ではないが、若書きゆえの破天荒な魅力があり、当時としてはかなり前衛的な作品だったはずだ。
1963年の第8、9番にケルテスの魅力的な個性が示されている。
他ならぬ「未完成交響曲」に於いて、本家ウィーン・フィルを用いながらも、「ウィーン情緒」からはもっとも遠い斬新なシューベルト像を描いたのである。
「グレイト」も瑞々しい感受性をもってシューベルトの抒情的な旋律を格調高く歌わせ、構築も端正・緊密で、ケルテスの純音楽性の高さを思い知らされる演奏。
しかしその後の録音(1970〜71年)は、作品の室内楽的な容姿をよく生かしているものの、いささか情緒の膨らみに乏しく、ウィーン・フィルのアンサンブルも格別優れているとはいえない。
上記データで、録音年が7年も飛んでいるのは、1963年に「未完成」と「グレイト」を録音した時点では、全集化の考えがなかったからだと思われる。
それらの中では、「第5」が、この曲の従来からのイメージに合った温和で優美な音楽で、ウィーン・フィルもじつに魅力的だ。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。