2022年03月23日
バッハの世界的権威リリングによる普遍的アプローチ、極上のソリスト陣を得て、不滅の演奏内容を誇るカンタータ全集
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国際的バッハ研究家として著名なヘルムート・リリング自ら校訂に参加したベーレンライター新バッハ・エディションに基づく『バッハ大全集』は、ひたむきで誠実なアプローチと普遍的な演奏内容により、バッハ演奏の王道として高い評価を獲得してきた。
今日、「音楽の父」として、燦然と輝きを放ち続けるJ.S.バッハであるが、器楽作品の録音とは事情が異なる。
何しろ現存する200を超えるカンタータすべてを網羅したお手頃なセットとなると、選択肢が極端に限られてしまうので、このセットは広く重宝されるものと思われる。
バッハは教会カンタータを300曲近く作曲したと見なされているが、現存しているのは200曲ほど。
カンタータはプロテスタント教会での日曜日や祝日の礼拝式のなかに組み込まれ、演奏された。
リリングはバッハの教会カンタータの真作、計194曲を、作曲年代順に収めている。
LPの段階では100枚近い巨大なアルバムだったのが、CD化されたことでスリムになった。
それでもさらに世俗カンタータを加え71枚、手応えは並のものではない。
バッハの第一人者の一人リリングの、前半生の総決算と言えるだろうか(録音は1970〜80年代半ば)。
リリングの、隅々まで暖かさにつつまれた演奏は、15年にわたって録音されたバッハの教会カンタータ全集に代表されよう。
ラディカルでスタイリッシュな古楽器演奏に慣れた耳にとって、従来のリリングには微温的な印象があった。
しかし、あらためて聴いてみると、決して押し付けがましくない、安心して身を委ねることのできる音楽づくりは、彼の確立されたスタイルなのだと気が付いた。
手兵シュトゥットガルト・バッハ合奏団、ゲヒンゲン聖歌隊をはじめ、あまたの演奏家たちが共演しており、歌手のソロ・パートはベテランを主体に実力派ががっちり固めている。
全体に強い個性を発散する演奏ではないが、その分、ムラのない高水準の仕上がり。
現時点(2022年)で現代楽器によるバッハのカンタータ全集としては唯一のもので、今後もう現代楽器による演奏は考えにくいことから、買っておいて損はないだろう。
バッハ・イヤー(2000年)を迎えて22年、さらにぐんと値下げして再発売された。
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