2012年03月18日
フルトヴェングラー&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》(1952年11月26-28日ライヴ)
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ライヴを合わせて10種類の録音が残されたフルトヴェングラーの《英雄》の最高峰と評される1952年11月のスタジオ録音と同時期に行われたライヴ録音。
フルトヴェングラーの名盤を一つ、と言われたら《英雄》につきる。
有機的演奏という表現がこの録音にはもっともふさわしく、冒頭の2つの和音から物語が始まり、気宇壮大な展開を重ねながらロマンティックで、しかもドラマティックな音の世界が形作られていく。
聴き手はそのスタートからコーダに至るドラマを目撃するかのように演奏と対峙、あたかももう一つの人生を生き抜くかのように全曲に浸ることになる。
巨匠が亡くなる2年前のライヴ録音だが、ウィーン・フィルの統率力にも抜かりがなく、美しさもスケール感も、また表現の純度と熟成度も理想的である。
演奏という行為が精神的営みにほかならない事実を実証した名演といってもよいであろう。
《英雄》は英雄が必要とされていた時期のものに限る……というわけではないが、フルトヴェングラーこそ、この交響曲第3番の演奏に、巨大な発展と雄大な広がり、そして衰えを知らぬエネルギーがふさわしかった時代の申し子だった。
テンポは動かし、デュナーミクも大胆に変える。
間違いなく演奏するなんて、つまらぬことに気をとられる必要など、この大指揮者にはなかった。
どうしても、こう表現しなければならなかった。
こういう演奏を必要としない現代にいながら、こういう演奏を聴くことができるのは、何とも不思議な喜びではないだろうか。
これぞ、という組合せだけに、いくつもの録音があって、どれもそれぞれすばらしい。
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