2012年03月20日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのブラームス:交響曲第4番&ハイドンの主題による変奏曲(1943年ライヴ)
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ベルリン・フィルの定期の実況録音で、当時のものとしてはひびきが豊かだ。
《第4》はフルトヴェングラー一流の、魔術のようなアゴーギクで曲が自在に流動しており、各部の性格が巧みに強調されている。
その点、有名な1948年盤に酷似しているが、オケの状態はこのほうが良いくらいである。
特にポルタメントを多用した弦の甘美さが際立っている。
ブラームスの新古典主義的な様式より、ロマン的な内面を濃厚に描いた演奏である。
それだけにブラームス晩年の枯淡の味わいは弱められたといえるだろう。
むしろこのディスクでは《ハイドンの主題による変奏曲》のほうが聴きもので、まことに雰囲気豊かな演奏に音は良くないが惹かれてしまう。
冒頭のハイドンのテーマからして、暗く、生々しい人間味がいっぱいに立ちこめる。
実際、フルトヴェングラーは"ドラマの人"なのだ。彼の演奏はすべて"音で語ったドラマ"といえるだろう。
全曲中の白眉は「第4変奏」である。遅い粘ったテンポで、心に強く訴える"挽歌"を奏でてゆく。こんな演奏はほかのCDからは絶対に聴けはしない。
同じく遅いテンポと強調されたピアニッシモで、深沈たる寂しさを出した「第8変奏」、第1ヴァイオリンの甘美な音色と大きなカンタービレが見事な最初の3つの変奏もフルトヴェングラーならではのものであろう。
ロマン的な情感がすみずみにまで漲っているが、それはすなわちフルトヴェングラーの体臭でもあるのだ。
そして「終曲」はそれらすべての集大成で、造型も揺るぎなく、終わりのモルト・リタルダンドの指定から、イン・テンポに戻るところでテンポを上げ、ティンパニを最強打しつつ決めるやり方が実に巧い。
フルトヴェングラー独特の、熱っぽくロマンティックな解釈で、聴き手の心をぐいぐいと引き込んでいくような名演奏である。
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