2012年04月10日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番(ハンゼン)/交響曲第7番(1943年ライヴ)
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ハンゼンとのピアノ協奏曲第4番は、フルトヴェングラーの協奏曲盤でも1,2を争う名演といえるだろう。
1943年のライヴなので音は悪いが、ハンゼンは多彩な表情とテンポの自在な緩急によって音楽を徹底的に堪能させてくれる。
筆者は好き嫌いでいえば同曲CD中、これを最も好む。
作品のすべての細部を掘り起こし、それによって曲の心や意味をぞんぶんに羽ばたかせている。
これ以上ロマンティックで情感豊かなベートーヴェンも類例をみないが、それでいてピアニストが作曲家を上回ることはない。
ハンゼンが音楽を完全に自分のものにしているからである。
第1楽章のカデンツァをとってみても、ベートーヴェンの自作を使いつつ、見事な創造を加えてゆく。
もちろん、この解釈の主導権は指揮者が握っているが、ピアノは単に追随するのではなく、強い感興をあらわにしてオーケストラと渾然一体となった音楽を繰り広げている。
ベートーヴェンの音楽の際立った特色は、異常なまでに強烈な求心力と激しい高揚感が一体となって聴き手に迫ってくるところにある。
その最たるものの一つである《第7》には、フルトヴェングラーの戦時下のライヴ録音があって、その異常な気迫は聴く者すべてを戦慄させずにはおかない。
しかもこれは、求心力と高揚感だけを追求しているのではない。
第2楽章が絶妙なのだ。
切々としたその"歌"は、響きとして軽からず重からず、かつ速からず遅からずのテンポで心に深く染みこんでくる。
ベートーヴェンを血肉として育った巨匠ならではの遺産であり、後の世に伝えたい魂の記録である。
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