2012年03月22日
フルトヴェングラーのベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》(1953年ルツェルンでのライヴ)
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1953年8月26日、ルツェルン、クンストハウスでのライヴ録音で、フルトヴェングラーが録音した最後の《エロイカ》である。
第1楽章はものすごい気迫で開始される。最初の和音だけとれば、これが今までのベストといえよう。
そしてつづく主題の足どりはゆったりとして実に良い雰囲気であり、堂々としてスケール雄大、ひびきが満ちあふれる。
ルツェルン祝祭管弦楽団が指揮者に慣れていない感じで、それがフレッシュな感動を生み出す原因の一つになっているのだろう。
指揮者の棒は1952年のスタジオ録音以上に力みがないが、音の背後の凄絶さはまさに最高、常に立派な充実感に満たされている。
テンポの動きは再現部の前と直後に1度ずつあるだけで、後は安定しきっており、最晩年の確立した大演奏といえよう。
第2楽章も心はこもっているが流れを失わず、旋律はソロといい合奏といい、肉のり厚く歌われ、中間部から再現部のフガート、その後の阿鼻叫喚に至るまで、ほかのどの盤に比べても仕掛けはないが、それでいて物足りなくないのは偉とすべきであろう。
スケルツォからフィナーレにかけても同じスタイルだが、後者に入ると音質がだんだん濁ってくるのが残念だ。
しかし、少しも速くならないフーガといい、ポコ・アンダンテといい、コーダといい、音の後ろにすごいものがかくされており、充分満足させてくれるのがすばらしい。
フルトヴェングラーの10点の《エロイカ》を聴き終わって、1952年のスタジオ録音の次に選ぶべきものとしては、この53年盤を第一に、つづいては44年盤と50年盤を推薦したいと思う。
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