2012年03月23日
フルトヴェングラーのベートーヴェン:交響曲第1番(1952/11/29,VPO)/交響曲第5番「運命」(1954/5/23,BPO)
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フルトヴェングラーの最後の《第5》である。
定期公演の曲目は奇しくも戦後初のコンサートと同じ《田園》との組み合わせであった。
表現は一挙に1947年に戻ってしまったようだが、いうなれば、あの驚くべきドラマを最晩年の枯れたスタイルの中に同化させようと試み、見事な成功を収めたのである。
47年盤に比べると、第1楽章の第2主題でテンポを落とさず、第2楽章のコーダではあんなに幻想的にせず、スケルツォのトリオでも夢中になっていない。
フィナーレに入るとテンポの大きなしかも頻繁な流動感は変わりがないが、造型の乱れというか、もうどうなっても構わないというほどの狂気には達していない。
それだけにコーダの決まりは断然このほうが良く、特にティンパニを4分音符の連続で叩かせるところは、猛スピードだけに上すべりを防ぐ役目を果たしている。
フルトヴェングラーは死ぬまで闘っていたのだ。
録音も非常に良い。
高音がややメタリックでざらつくとはいえ、生々しさは最高、分離も良く、倍音のホルンが見事にとらえられているし、指揮者とオーケストラの激しい気迫も如実に伝わってくる。
47年5月27日盤、54年のスタジオ録音と並ぶベスト3として長く世に残したいCDといえよう。
この3枚に次ぐものとしては、筆者は52年のローマ盤を挙げたい。
《第1》はスタジオ録音直後のライヴだけに基本的な解釈は同じだが、第1楽章序奏部のものものしい間合いによる語りかけや、小結尾主題直前のリタルダントなどは前盤には見られなかったものだ。
アンサンブルの集中力もライヴならではだが、フルトヴェングラーとしては抑制が効いており、音質のクオリティの高さによって楽器の色彩感や純音楽的な香りが生きている。
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