2012年03月29日
ワルターの「ドン・ジョヴァンニ」(1942年メト・ライヴ)
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モーツァルトのオペラの中で、音楽の密度がいちばん濃いのは《ドン・ジョヴァンニ》であろう。
水準以上なら、どのような舞台に接しても筆者は感動してしまう。
また、どのような演奏スタイルも受け入れてしまう。
エクサン・プロヴァンス音楽祭のハーディングの指揮など、通常の倍も速いかというスピードですっきりと流した演奏だったが、実に美しかった。
しかし、ドラマティックで凄味のある《ドン・ジョヴァンニ》ということになると、未だもってワルターが随一だ。
1942年のライヴなので音が古く、しかもレチタティーヴォのチェンバロをピアノで代用するという時代物だが、演奏だけを考えれば現在もこれに匹敵し得る盤は1組もない。
それは一にも二にもワルターの指揮が圧倒的だからで、歌手一人ひとりに言いたいことがあっても、指揮者中心に聴くべき演奏ゆえ、歌のことは気にならない。
それはすべての歌手が水準以上に達し、歌手のアンサンブルも見事の一語に尽き、ワルターの強力な統率下においてまとまりが最上だからである。
全盛期の彼の迫力と緊迫感は手に汗を握るほどであり、対照的に柔らかく優しい息づかいにもあふれているのだから鬼に金棒。
これほどドラマやその内容の濃さを感じさせる演奏はないが、音楽的な緊張や流れの良さも抜群なのだ。
筆者など聴き始めたら録音の古ささえ忘れてしまい、聴いている2時間半の間、体中が熱くなり通しだ。
音質の古さを補って余りある気迫のこもった名演奏の復刻である。
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