2012年04月02日

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1950年ライヴ)


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《エロイカ》はベルリン・フィルとの初めてのライヴ録音である。

第1楽章は冒頭から覇気のある響きと前進性がまず耳に飛び込んでくる。

リズムの間をつめてゆくような進行は若々しく、テンポも速めに感じられるし、動きも少なく、音のドラマよりはトスカニーニ的なストレートな運びが目立つ。

しかし展開部の途中からにわかに即興的な表情が生き始めるのが面白い。

心なしか、もともと明快な録音も生々しさを増し、自信が出、低弦の足どりはピアノの指定を無視して分厚く奏され、再現部の始めやコーダのアッチェレランドもフルトヴェングラーならではで、終結の一気呵成の追い込みは、これが最も底力を感じさせる。

もっとも、この部分の加速は古典のソナタ形式をドラマ化するには唯一の方法と思うが、音楽の作り方がそのようにできていないので、必ずしも効果的とはいえない。

むしろ朝比奈隆のようにテンポを落とすほうが曲想に合っていると思うのだが、フルトヴェングラーの方法論はこれ一つということなのだろう。

つまり彼はあくまで古典的な形式感の持ち主ということになる。

第2楽章はすごい魂込めによって開始され、トリオの黒いパッション、フガートのハラワタが裂けるような金管とティンパニ、最後の審判の叫びや、それを導き出すチェロ、バスのアクセントなど、さすがと思わせる場面に事欠かない。

フィナーレは第1楽章以上にテンポの張りが見事だ。

まさに英雄の進軍であり、コーダのスピードもこれがいちばんである。

グルックの《アルチェステ》序曲は4回目のウィーン盤と比べると、ゆとりのある厚みと大きさにおいて優り、荘重な豊かさを持ち、弦のレガートには艶と人間味があり、低音がずっしりと入って力強く、より男性的な表現に聴こえる。

《合奏協奏曲》は完全にフルトヴェングラー流儀のヘンデルである。

チェンバロを加えず、かなりの編曲が施されており、大きな間を伴ったアインザッツといい、踏みしめるようなリズムといい、強いアクセントやドラマティックな盛り上げといい、これはヘンデルではなく、ロマン派の音楽である。

第4楽章と第5楽章を入れ替え、前者をフィナーレにしているのなども独特の演出だが、メヌエットではなく、アレグロで終わらせるところが、いかにもフルトヴェングラーだ。

第2楽章で絵画的なピチカート奏法を随所に採り入れたり、第3楽章の最後ですごい最弱音を使うなど、原曲の味からは遠いが、フルトヴェングラーを知る上には欠かせぬディスクである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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