2012年04月03日
フルトヴェングラー&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1944年ライヴ録音)
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1953年にウラニアから発売され、"ウラニアのエロイカ"としてセンセーショナルを巻き起こしたが、フルトヴェングラーが訴えたため、発売中止となった曰くつきのレコードのCD化である。
フルトヴェングラーの残した《エロイカ》の中でも最も劇的であり、この指揮者のあらゆる演奏の中でも屈指の名演に数えてよい。
素晴らしく共感の強い入魂の演奏であり、極めて個性的だが造形的には見事な均衡を得ている。
大胆なアゴーギグとデュナーミクも素晴らしい効果をあげており、音楽的な必然性を帯びて迫る。
まさに至芸というべき表現である。
全曲中、最もすばらしいのはフィナーレで、集中してゆくテンポの良さが見事で、厳しくも内容のある響きも印象的である。
フルトヴェングラーは《エロイカ》を得意とし、CDも約10種類を数えるが、われわれを完全に満足させてくれるものは1枚もない。
この1944年盤も初めて耳にした時は異常な感動をおぼえたものだが、今となっては音が古すぎる。
放送録音のため、ムジークフェライン・ザールの残響が豊かに入り、歪みも少なく、当時のものとしてはきわめて優れたものといえるが、それでもフルトヴェングラーの表現の何パーセントがマイクにとらえられているのだろうか。
まことに残念でならない。
とはいえ、このCDは他のライヴ盤に比べ、全4楽章の音質が均一に保たれているのが大きな長所といえよう。
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