2012年05月10日

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのシューベルト:交響曲第8番「未完成」/ブラームス:交響曲第4番(1948年ライヴ)


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フルトヴェングラーの有名な「ブラ4」(1948年盤)は既に語り尽くされているので、ここでは「未完成」について述べたい。

いかにもフルトヴェングラーらしい「未完成」の名演である。

彼はこの曲を振る前は、そわそわと落ち着かなかったそうだが、曲想が彼の表現とぴったり合致していないので、演奏しにくかったのだろうと思う。

しかし、このCDは、一応やりたいことをやり尽くし、フルトヴェングラーなりにきわめ尽くしている。

第1楽章は音楽が地の底から湧き起こるように開始され、フォルテの凄絶さはその比を見ない。

ホルンとバスーンによる経過句で大きくリタルダントし、第2主題を導き出すのもフルトヴェングラーらしいが、チェロの弾く第2テーマの翳の濃い表情は、ほかの指揮者からは聴けないものだ。

この主題、たいていの指揮者はピアニッシモの指定にとらわれてしまうからであろう。

つづくヴァイオリンの心のこもったレガートも美しい。

その後の漸速を伴った、しかもスムーズな進行も聴きもので、フルトヴェングラーの魂が次第に高潮し、燃焼してゆくさまが目に見えるようだ。

そして提示部の終わりで第2主題が現れる部分のヴィブラート奏法は、彼ならではの温かさであり、造形上にも一分の隙もさえない。

展開部はフルトヴェングラーと未完成交響曲の厳しい対決であり、真剣勝負である。

これこそ時代の流行を越えた"真実の表現"であり、それゆえに決して古くならない生命力が燃えたぎっている。

大きくテンポを落とした、ものものしい終結とともに、聴く者の魂を奪うに充分なものがあろう。

第2楽章はテンポが速く、淡々とした運びの中にあふれるような歌を込めた指揮ぶりである。

テンポの微妙な変化はフルトヴェングラーの息づきのように自然だ。

フォルティッシモは相変わらずものすごいが、力ずくの迫力ではないので、切れば血の出るような有機性を絶えず保っているのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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