2012年04月27日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第5番「運命」(1947/5/27ライヴ)
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戦後2年、ナチ協力の疑惑が晴れて、ようやくベルリンのステージに復帰したフルトヴェングラーの歴史的記録となったベートーヴェン《第5》。
彼の11種の《第5》の中でも傑出した演奏で、すべてが感動に満ち溢れている。
現代のクリア過ぎる録音に比べればはるかに劣る音質なのに、聴き始めて10秒も経たぬうちに有無を言わさず引き込まれる。
ここには指揮者の言いたいことがすべて音となって刻みこまれている。
まだ戦災の跡も生々しい廃墟の中、経済も混迷の続く窮乏のベルリン市民が、久しぶりの"フルトヴェングラーの音"に酔った興奮の演奏会ライヴは、有名な"運命の動機"に特別の意味を持たせた解釈が、厳しい造型意識のもと、まさに魂に訴えかけるようなフルトヴェングラーの棒の魔力のまま、楽章を追って激しく燃えに燃え、終楽章の意表をついた加速の恐るべき効果とともに、堂々たる威厳をみせて終わる。
第1楽章から力強いデュナーミクと活力に溢れた表現が顕著だが、そこから終楽章までそのエネルギーとスケール感が持続され、堂々たるクライマックスを構築していくのは言語を絶する興奮を呼ぶ。
この牽引力と推進力は何なのだろう?
一節一節に込められた表現は屈託がなく開放的に広がっている。
推進力は"気迫"だ。
精神論と言われようと、明らかに演奏を動かす"意志"が読み取れる。
フルトヴェングラーのカリスマ性が端的に表われた録音であることは疑いない。
細部の多少の乱れも、かえって演奏者たちの感動熱狂ぶりを物語って印象深い。
《エグモント》序曲も同様で、フルトヴェングラーとしても記念碑的な演奏といえる。
《大フーガ》も強固な意志を感じさせる見事な演奏で、ディテールの味わい深さも特筆に値する。
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