2012年04月28日
フルトヴェングラー&ウィーン・フィルのハイドン:交響曲第94番「驚愕」/ベートーヴェン:交響曲第4番
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
フルトヴェングラーが指揮したハイドンの交響曲で最も印象深いのは、第88番《V字》(オーケストラはベルリン・フィル)だと筆者は考えている。
ハイドンの円熟期の交響曲を支えている造形力と音楽的魅力を、これほど端的に再現した演奏は、ほかにはない。
これに次ぐ出来ばえを見せているのが、この第94番《驚愕》である。
ただ人によっては当盤の演奏はハイドン風というより、むしろベートーヴェン風なものに傾いているではないか、と疑問をいだく向きもあろう。
確かに、ここにはハイドン的素朴さより、ベートーヴェン的威容が前面に出てきている感じがする。
なにやら抵抗しがたい大きな力が、聴き手をぐいぐい押してくる。これがフルトヴェングラーのハイドンの真骨頂なのだ。
もともとフルトヴェングラーは、表情が豊かな上、テンポが伸縮性に富んでいるため、19世紀の演奏の伝統に根ざしている、と目されてきた。
けれども、彼がやる"誇張"には、作品が秘めている内的感情を、そうすることによって聴き手にはっきり伝える、という一大特色があった。
その結果、聴き手はフルトヴェングラーのやり方こそが他のものより自然なのだ、と思い込まされてしまう。
第94番《驚愕》は、まさしくそうした演奏にほかならず、フルトヴェングラーならではのハイドンである。
記憶に長く残る演奏とは、こういうものを指すのであろう。
1950年のベートーヴェン「第4」は、超入手難のSP盤から完全な形で復刻したもので、解釈としては、1943年盤と52年盤の中間に位し、特徴としては両者をミックスした良さがある。
ベルリン盤に比べると、さすがにウィーンの柔らかい、魅力的な音色感が光り、ティンパニも弱い。
第1楽章展開部の、スコアにないティンパニ追加をやめたのは賛成だが、これは52年盤、53年盤も同様である。
この楽章には、何かしら晩年の静の境地、言葉を換えれば"禅"に通じるものが感じられるのは興味深く、ほかの録音には見られないだけに、50年盤のいちばんの特徴に数えてよいだろう。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。