2012年05月01日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》(1938年スタジオ録音)
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フルトヴェングラーの最初のチャイコフスキー録音が、ベルリン・フィルとの《悲愴》だった。
これは、それまでの代表的な演奏であったメンゲルベルクの録音を凌ぐ評価を得ていた。
それは、フルトヴェングラーがチャイコフスキーの感情を徹底的に掘り下げたことにある。
第1楽章の地の奥底から呼びかけるような喚起力、第2楽章の単なる感傷や甘美な情感に終わらせない深いメランコリー、そして第3楽章の力強い感情の昂揚した後に第4楽章で彼は感情の深淵を垣間見せる。
この一連のプロセスをフルトヴェングラーほどの説得力をもって表現した指揮者はいない。
全人類の苦悩を一身に背負ったかのような表現がいかにもフルトヴェングラーらしい。
ベルリン・フィルのやや暗い音色と強靭な響きが、彼の解釈にいっそうアピールする力を与えている。
SP録音だが音の状態は良く、これがSP復刻による1938年の録音とはとても信じられない。
フルトヴェングラーが遺したチャイコフスキーの《悲愴〉の録音としては、本盤といわゆるカイロ盤(1951年のライヴ、DG)の2種が存在し、いずれ劣らぬ名演ではあるが、ライヴ録音ということもあり、どちらかと言えばドラマティックなカイロ盤の方を上位に置く評者が多かったのではないかと思われる。
しかしながら、今般の高音質化を持って、フルトヴェングラーの魔法のような至芸を鮮明な音質で味わうことが可能となったことにより、筆者としては、本盤の方をより上位に置きたいと考える。
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