2012年04月30日

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第5番「運命」(1937年盤)/ワーグナー:「パルジファル」より(1938年盤)


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ベートーヴェン《第5》は、戦前の古い録音(1937年)にもかかわらず、復刻の状態が非常に良く、フルトヴェングラーの指揮もきわめて若々しく雄渾である。

音楽的な格調の高さでは54年のスタジオ録音、劇的迫力では47年のライヴ録音に注目したいが、この録音には全盛時代の輝きが認められる。

それゆえ、ベルリン・フィルのひびきがすばらしく、アンサンブルも練れ、フルトヴェングラーの表現も熟しており、彼の数多い《第5》の中でも、最も整然たる演奏といえよう。

運命動機の提示は遅く、ものものしく、フルトヴェングラー以外の何ものでもないが、主部は大変速く、リズムの刻みも颯爽としている。

スケルツォ中間部の推進力もすばらしい。

反面、第2楽章では、内面的な表現と音色で、じっくりと感情移入を果たすなど、曲想の描き分けがはっきりしている。

フィナーレでは、遅いテンポで堂々と踏みしめる提示部と、速いテンポの再現部が極端に違うのも興味深い解釈だ。

これは後の録音にも共通するフルトヴェングラー独特の造型である。

1940年代以降のCDほど個性鮮明ではないが、フルトヴェングラーは51歳でもやはりフルトヴェングラーで、感動的な部分も多々ある。

しかし、マイクの位置も関係あるのだろうが、ティンパニと金管が弱く、弦主体の上品、典雅なバランスが目立ち、フルトヴェングラーの体臭の面では物足りなさを感じさせる。

《パルジファル》第1幕への前奏曲は、音楽がいっぱいの雰囲気を背負って湧き上がってくる名演だ。

楽器はよく溶け合い、フォルテの部分のえぐりも深い。

特筆すべきは、ペシミズムというか、センチメンタリズムというか、救いを信じないような悲しい祈願が、ある種のはかなさと弱さを生み、いかにもフルトヴェングラーらしいワーグナーになっている点であろう。

《パルジファル》聖金曜日の音楽は、これまた前曲以上の名演である。

出だしからして、いかにも即興的で、リズムが生き、泣くようなヴィブラートを掛ける弦といい、デリケートのきわみを示すフルートといい、極大のスケールといい、フルトヴェングラーの良さを堪能できる。

あの美しい"聖金曜日の主題"が、あるいははかなく、あるいはおずおずと粘り気味に、あるいは情緒に濡れて強く歌われるところ、ワーグナーの作品中でも最もフルトヴェングラーに適した音楽といえよう。

少しももたれない流れも最高で、心の乱れを音のざわめきに出してゆく終わりの部分もすばらしい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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