2012年05月24日
フルトヴェングラー&ストックホルム・フィルのベートーヴェン:交響曲第9番<合唱つき>(1943年ライヴ)
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フルトヴェングラーのベートーヴェン『第9』の中では目立たない存在かもしれないが、中身が濃厚でエネルギッシュで激熱なストックホルム・フィルとの『第9』である。
どうしてもフルトヴェングラーの『第9』は、『バイロイト』に注目が集まり、他の演奏では戦時中の劇的な1942年のベルリン盤と最晩年の深遠な境地を示す1954年のルツェルン盤が注目される程度で他の演奏は少々隠れがちだ。
しかし、このストックホルム・フィルとの『第9』も聴けば聴くほど熱くなり次第に高揚していく。
これがフルトヴェングラーの『第9』に共通していえる、一種の麻薬的な楽しみなのかもしれない。
客演だけにオケも所々不揃い、合唱も叫んでいる様で決して上手ではないが、それでも「最高」に属する1枚であろう。
戦時中のめずらしい、中立国への客演が生んだ緊張感がすばらしい。
造型はベルリン盤とさほど変わりがないが、第1楽章と第3楽章のテンポは速めだし、表情もやや凄味に欠ける。
それでも弦の音色がかなり明るく、優美なせいもあって、フルトヴェングラーとしては流麗な『第9』であり、第3楽章の第2主題や木管の佇まいなど、他の6盤には見られぬ美しさがあることも事実だ。
他のフルトヴェングラーの『第9』との聴き比べも楽しみになる、そんな1枚。
盤起こしの持続的な雑音が入るが、驚くほど音像はしっかりしている。
経年変化した1950年代のテープ録音よりよほど鮮明である。
ストックホルム・フィルも必死に指揮についていっており、一期一会の演奏となった。
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