2012年06月01日

フルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」(ORFEO盤)


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1953年7月27日(諸説あり)、ザルツブルク音楽祭の実況盤であるが、録音は優秀で、おそらくフルトヴェングラーのディスクの中でも特に優れたものに数えられよう。

演奏も実にすばらしく、彼がレコーディングしたモーツァルトでは「K466」と並んでベストの出来と絶賛されよう。

全体に遅いイン・テンポで一貫しているが、少しも重くならず、その格調の高さとひびきの透明感は抜群である。

音楽に身をもって没入し、ドラマティックに盛り上げてゆくよりは、終始客観的な眼で全体をとらえており、それがしんねりむっつりした感じを少しもあたえず、われわれは安心して『ドン・ジョヴァンニ』を愉しめるのである。

ウィーン・フィルの繊細典雅な音色のニュアンスも十二分に生きている。

「序曲」は冒頭の低弦の二分音符のクレッシェンドがものすごく、切れば血の出るような生々しいひびきがフルトヴェングラー調であるが、主部に入るとアンサンブルの見事な、格調の高い、透明な解釈となり、それでいて物足りなさはまったく見られず、立派な演奏が展開される。

「序曲」のテンポは普通だが、幕があくと、どの部分もかなり遅い。

「ぶってよ、マゼット」など、その最たるもので、人によっては嫌うかもしれないが、クレンペラーの『フィガロ』同様、少なくとも筆者には何ら違和感はなかった。

むしろ、そのテンポのおかげで、落ち着いて音楽を堪能し得るのである。

オーケストラは常に立派な厚みのある音で歌を支え、スケールも大きいが、決して大味にはなっていない。

第1幕の終結、第2幕の石像の登場やドン・ジョヴァンニとのやりとり、そして地獄堕ちの場面なども、フルトヴェングラーとしてはまことにおとなしい。

夢中になりすぎたり、狂気じみたりせず、しかも緊迫感は充分なのである。

燃え立ったフルトヴェングラーを期待する人には物足りないかもしれないが、これこそ彼が行きついた晩年の境地であり、完成されきったモーツァルトの世界だと思う。

歌手陣もベストだ。

ことに風格のあるシュヴァルツコップと可憐なベルガーに惹かれるが、どの歌手も十二分に気持ちを込めているにもかかわらず、歌い崩しがまったく見られない。

モーツァルトのオペラの場合、これは殊更重要なことなのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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