2012年06月10日
シャルル・ミュンシュ指揮 ベートーヴェン:交響曲全集
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ありそうでなかったミュンシュのベートーヴェン:交響曲全集の登場(録音・演奏は、1947〜1961年)。
第8番を除いてすべてボストン交響楽団とのライヴ録音で、声を上げ、足踏みしながらオーケストラを鼓舞するまさに火の玉のように燃える演奏を堪能できる。
ミュンシュの特長が如実に表れた、激しさとしなやかさが自在に交錯する生気溢れる演奏である。
またテンポの把握がよく、スケールが大きく、大変音楽的であり、それに加えてボストン響の整った技術が、このミュンシュの解釈を何層にも裏づけている。
特に第5番にミュンシュの個性は端的に示されており、緊張感に満ちた第1楽章から明るい終楽章まで、押しの強い力感みなぎる運びのうちに全体を大きな流れでまとめている。
第9番も豪快かつダイナミックな演奏で、とりわけ終楽章の熱い高揚はミュンシュならではのもの。
ミュンシュは、オーケストラも合唱も独唱も完全に自らの手中に収め、太い線を貫くような力と技で、この曲のたくましい構成を堅実に演奏に移しかえている。
第3番では颯爽たる進行のうちに、生き生きとした音楽が躍動する。
第8番のみパリ音楽院管弦楽団とのデッカへのセッション録音でおとなしいものの、これはこれで昔のフランスのオケの味な音が楽しめてなかなか魅力的。
他の交響曲もドイツ的な重厚さとは無縁、明快に逞しく、率直かつストレートに進むカラっとした音楽作りで、しかもそこに奥行きを感じさせているところがすばらしい。
これはミュンシュの充実した構成力と、それを完遂しうるボストン響の高度な技量との勝利を示す演奏である。
最も正統的な演奏として一つのスタンダードとなるであろう。
すべてモノラルの古い録音だが、聴きやすい水準にある。
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