2012年06月11日

ワルター&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第9番


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1955年11月13日、ウィーン国立歌劇場でのライヴ録音。

ウィーン国立歌劇場再建50年記念ディスクで、伝説の演奏がついに正規盤で発売された。

戦後のワルターとウィーン・フィルのライヴは随分発掘されたが、これは残る中でも特に大物。

ウィーン・フィルの「第9」といえばワインガルトナー、フルトヴェングラー、カラヤン、クライバー、イッセルシュテット、ベーム、バーンスタインと枚挙に暇がないが、おそらくこの演奏はその中でも1、2を争う名演奏。

フルトヴェングラーとまったく違う、ワルターの「第9」を堪能した。

再建されたウィーン国立歌劇場がベーム指揮の『フィデリオ』で柿落としをしてちょうど一週間後の1955年11月13日、ワルターはウィーン国立歌劇場で、ブルックナーの『テ・デウム』と共に、ベートーヴェンの第9交響曲を演奏した。

1955年といえば、ワルターの生涯の中でも最も気力の漲っていた時期、加えて記念行事的演奏会、それだけにウィーン・フィルもルーティンなところは一切なく、全パートがフル稼働しているような、熱気と充実感に満ちた演奏になっている。

ワルターは絶好調! 数年後のスタジオ録音よりはるかに素晴らしく、指揮者の気迫は物凄い。

また第3楽章での綿々とした弦、管の美しさはさすがウィーン・フィルで、テンポは遅くはないが柔和な響きと、アクセントなどの細やかなニュアンスの工夫が生きていて、穏やかさと豊かな表現力とが両立している。

第4楽章は振幅の大きい表現となり、演奏後の拍手と歓声の凄さは壮絶で、この前年にフルトヴェングラーが亡くなり、今や最後の巨匠となったワルターに対するウィーンの聴衆の熱い思いが伝わってくるようだ。

これはワルター流を徹底したベートーヴェンという意味では評価できる。

彼の全録音中でも重要なディスクの一つであろう。

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classicalmusic at 20:45コメント(2)ベートーヴェン | ワルター 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年02月08日 09:10
4 以前私的にお知らせしましたが,ワルター/ウィーンフィル第9ライヴの評価は難しい。第1楽章が極めて平板で深みが乏しいのですが,後半になって来ると徐々に力強さが増しワルターらしさを見せてきます。終わりよければ全て良しと言いたいところですが,録音が今ひとつの上アップテンポが気になりました。独唱陣ではテノールが異質に感じます。私は当盤よりロンドンフィル(1947)とのライヴ盤を採ります。のっけから凝縮した迫力全快!決してフルトヴェングラーに負けていません。私が耳にしたのはリマスタリング盤か否かは分りませんが,比較的聴きやすい録音でした。ただかなりライヴ特有のピッチが速い演奏で,壁の向こうで音が鳴っているという感触は拭えません。合唱は旨い,イギリスは合唱団のレヴェルが高い。
2. Posted by 和田   2022年02月08日 11:15
ワルターの「第9」の中では、ロンドン・フィル盤もウィーン・フィル盤に匹敵する最高の演奏でしょう。ライヴということもあって全曲を一貫した主張に最も筋が通り、曖昧さが見られないからです。セッション録音での大人しさとは別の激しさももつ演奏で、ことに初めの2つの楽章の緊迫感がすばらしく、トスカニーニ的な迫力と推進力が見事です。第1楽章はテンポが速く、一気呵成の進行と意志的なリズムによる語りかけもさることながら、ティンパニの意味深い強打が凄絶であり、再現部冒頭の決め方、それ以上に楽章終結の阿鼻叫喚は身震いがするほどです。第2楽章も緊張の持続とティンパニの強打がものを言っています。第3楽章だけは他盤に比べてもう一つの出来ですが、フィナーレは荒れ狂うような大変ドラマティックな演奏で、緊迫感に富んだ表現と言えましょう。温厚なワルターという面ばかりではないということを示したもので、ファンには貴重なものではないでしょうか。それにこの演奏はキャスリーン・フェリアーが参加しているというのが注目点でしょう。これがワルターとの初顔合わせではなかったかと思いますが、それにしてもフェリアーの「第9」登場というのがこのCDの売りでもありますね。A.ローズとA.Z.スナイダーによる2010年デジタル・リマスタリングによって、随分聴きやすい音質に改善されています。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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