2012年06月13日
シューリヒトのベートーヴェン:序曲「コリオラン」、ピアノ協奏曲第3番(アラウ)、ブラームス:交響曲第4番
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1959年3月24日 フランス国立放送管創立25周年記念演奏会でのライヴ(ステレオ)録音。
冒頭のベートーヴェンの序曲「コリオラン」の豪演からして我々聴き手の度肝を抜くのに十分だ。
これほどの壮絶でドラマティックの極みとも言うべき演奏は、かのフルトヴェングラー&ベルリン・フィルによる名演(1943年)にも匹敵すると言えるところであり、音質面を考慮すれば本演奏の方がより上ではないかとさえ思われるほどだ。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、若き日のアラウによるピアノに関心が集まるが、確かに本演奏においては後年のアラウ(ディヴィス&シュターツカペレ・ドレスデンによる名演)のような威容は感じられない。
しかしながら、シューリヒトによる見事な指揮によるところも大きいとは思うが、この当時のアラウとしては重厚にして味わい深いピアニズムを展開していると言えるのではないか。
また、このアラウのピアノを好サポートしたシューリヒトも、フランス国立管弦楽団ともども重心の低い立派な演奏を行っている点を高く評価したい。
そして、ブラームスの交響曲第4番であるが、これは圧倒的な超名演だ。
シューリヒトによるブラームスの交響曲第4番は様々なオーケストラとともにいくつかの録音を遺しているが、これまでのところ随一の名演はバイエルン放送交響楽団との晩年の演奏(1961年)であったと言える。
ところが本演奏の登場によって、両者同格の名演との位置づけになったと言っても過言ではあるまい。
そして、1961年盤が現在では入手難という点に鑑みれば、当面は本演奏がシューリヒトによるブラームスの交響曲第4番の代表盤になったと言えるのではないか。
前述の1961年盤がインテンポによる名人の一筆書きのような枯淡の境地を感じさせる端麗辛口の名演であったが、本演奏はテンポはいささか速めであるものの、どちらかと言うとむしろ濃厚なロマンティシズムに満ち溢れた名演と言える。
テンポも全体の造型が弛緩しない程度に動かすなど、細部に至るまで実にニュアンス豊かであるが、その独特の味わい深さはこれぞシューリヒトの芸術の真骨頂と言えるだろう。
そして、第2楽章をはじめとした同曲に特有の美しい旋律の数々も、シューリヒトは1961年盤以上に心を込めて歌い抜いており、そのロマンティシズムに満ち溢れた情感の豊かさには抗し難い魅力に満ち溢れていると言える。
終楽章の各変奏の描き分けも秀逸であり、その味の濃い濃密な表現は巨匠シューリヒトだけに可能な豊かな芸術性溢れる圧巻の至芸であると言えるだろう。
録音は、前述のようにステレオ録音であり、実に素晴らしい音質であると言える。
シューリヒトによる至高の超名演をこのような素晴らしい高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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