2012年06月17日

シューリヒトのウェーバー:「オイリアンテ」序曲/シューマン:ピアノ協奏曲(ハスキル)/ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」


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1955年6月15日 ストラスブール音楽祭でのモノラル(ライヴ)録音。

シューリヒトは、颯爽としたイン・テンポの下、繊細なニュアンスを随所にちりばめるという、言わば渋くて、枯淡の境地を垣間見せるような名演を繰り広げた指揮者だと思っていた。

しかし、それは、録音状態のいい名演が1960年代の晩年に集中していることによるものであり、1950年代半ばにフランスのオーケストラと繰り広げた前作の3枚のCDで、そのような印象が見事に覆ってしまった。

本CDも、同じく1950年代の演奏であるが、前作と同様に、テンポが目まぐるしく変遷する実に熱い演奏を行っている。

シューマンのピアノ協奏曲は、実に味わい深く、ハスキルもひとつひとつ音を慈しむように弾いていて、まるで、墨絵の世界のように渋い美しさである。

第1楽章のオーボエによるゆったりとした濃厚な表情にびっくりさせられる。

主部に入ると、演奏の歩みを速めることになるが、テンポは緩急自在で、ハスキルとの息もぴったりだ。

第2楽章は、冒頭と終結部の主題を速めに演奏して、中間部をむせ返るような抒情で歌いあげるという、実に効果的な至芸を披露している。

第3楽章も、シューリヒトの魔法のような棒のもと、見事な音のドラマを繰り広げており、演奏終了後の聴衆の熱狂も当然だと思われる。

ベートーヴェンの「第5」は、全体の印象は、晩年の颯爽たるイン・テンポのシューリヒトであるが、隋所に、この時期のシューリヒトならではの踏み外しが見られる。

第1楽章はシューリヒト独特の鋭いアクセントや陰影の付け方も見事だが、展開部や再現部での荒れ狂った様子はフルトヴェングラーの1947年盤を想起させる。

シューリヒトは、この「第5」のような奇数番号を比較的淡白に指揮するものだと思われているが、これを聴けば全くそうではないことがわかる。

例えば、第3楽章の終結部の第4楽章に向けての弦の動きなど、演奏が止まってしまうかと思うようなテンポダウンを見せたり、終楽章は、冒頭主題をゆったりとしたテンポで高らかに歌い上げたかと思うと、突然、テンポが超快速に変遷する。

終結部の一歩手前は、凄まじいアッチェランドをかけており、シューリヒトの熱いパッションの爆発が見られる。

「オイリアンテ」序曲も含め、本CDにおさめられたいずれの曲も、これまでのシューリヒトの印象を覆すのに十分な超名演と評価したい。

ライナーの平林氏の解説も、過去の演奏との比較など実に懇切丁寧であり、いい加減なライナーがはびこる中で、平林氏には深く敬意を表したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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