2012年06月19日
ジュリーニ&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第4番、交響曲第3番「英雄」(1994年ライヴ)
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ジュリーニは、イタリア人指揮者であるが、独墺系の作曲家による楽曲も数多く演奏した大指揮者であった。
ブラームスの交響曲全集は2度も録音しているのに対して、意外にもベートーヴェンの交響曲全集は一度も録音していないところだ。
本盤の演奏は、オーケストラがウィーン・フィルということも多分にあると思うが、これらの既に発売されている各演奏をはるかに凌駕する、ジュリーニによる両曲の最高の名演と高く評価したい。
このような圧倒的な名演奏が、今般、アルトゥスレーベルによって商品化にこぎつけられたことに対して、感謝の意を表さずにはいられないところだ。
それにしても、凄い演奏だ。
悠揚迫らぬゆったりとしたテンポ設定は、いかにも最晩年のジュリーニならではの指揮ぶりと言えるが、いささかの隙間風の吹かない、粘着質とも言うべき重量感溢れる重厚な響きは、かのブルックナーの交響曲第9番の重量級の名演(1988年)に比肩するものとも言えるだろう。
もっとも、これだけの重厚で粘着質の演奏でありながら、いささかの重苦しさを感じさせることはなく、歌謡性溢れる豊かな情感が随所に漂っているのは、イタリア人指揮者ならではの面目躍如たるものと言えるだろう。
いわゆる押しつけがましさがどこにも感じられず、正にいい意味での剛柔のバランスがとれた演奏と言えるところであり、これには、ウィーン・フィルによる美しさの極みとも言うべき名演奏が大きく貢献しているのを忘れてはならない。
いや、むしろ、ウィーン・フィルの敬愛するジュリーニが指揮台にいたからこそ可能な名演奏であったと言えるのかもしれない。
いずれにしても、本盤の両曲の演奏は、巨匠ジュリーニならではの至高の超名演と高く評価したい。
ジュリーニ&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲の演奏については、本盤の第3番及び第4番以外に遺されているのかどうかはわからないが、本盤の超名演を聴いて、第5番や第6番、第7番、第9番あたりが遺されていて欲しいと思う聴き手は筆者だけではあるまい。
音質は、1994年のライヴ録音だけに、十分に満足できる良好な音質である。
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