2012年06月20日

N響85周年記念シリーズ:スメタナ:交響詩「わが祖国」、ドヴォルザーク:スラヴ舞曲/ヴァーツラフ・ノイマン


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ノイマンは手兵チェコ・フィルを引き連れて何度も来日を行ったが、単身で来日してNHK交響楽団を指揮して数々の名演を成し遂げたことでもよく知られているところだ。

本盤に収録されたスメタナの「わが祖国」とドヴォルザークのスラヴ舞曲全曲は、ノイマンが1978年及び1990年に来日した際にNHK交響楽団を指揮した際の演奏であり、1986年の来日時の演奏よりもはるかに優れた素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。

特に、スメタナの交響詩「わが祖国」は、録音年代はいささか古いが、圧倒的な名演と言っても過言ではあるまい。

ノイマンによる同曲の録音は意外にもあまり遺されていない。

最初の録音はライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との演奏(1967年)、2度目のものはチェコ・フィルとの演奏(1975年)、そして3度目は、チェコ・フィルとの来日時のライヴ録音(1982年)ということになる。

クーベリックが6種類もの録音を遺していることに鑑みれば少ないと言えるが、今般、NHK交響楽団との1978年のライヴ録音が加わったことは実に素晴らしいことである。

ノイマンによる交響詩「わが祖国」の代表盤は何と言っても1975年のスタジオ録音盤であるというのが衆目の一致するところであると思われるが、本演奏は、それにライヴ録音ならではの気迫や熱き生命力が付加されたものと言っても過言ではあるまい。

ノイマンによる同曲の演奏は、民族色をやたら振りかざしたあくの強いものではなく、むしろ、淡々と曲想が進んでいく中で、各旋律の随所からチェコの民族色や祖国への深い愛情の念が滲み出てくるような演奏と言えるところだ。

NHK交響楽団も、さすがに技量においてはチェコ・フィルには及ばないが、その渾身の名演奏ぶりにおいてはいささかも引けを取っておらず、ノイマンともどもチェコの楽団とたとえてもいいような味わい深い演奏を繰り広げていると言ってもいいのではないだろうか。

他方、スラヴ舞曲全曲については、ノイマンは、いずれもチェコ・フィルとともに3度にわたってスタジオ録音を行っている(1971〜1972年、1985年、1993年)。

いずれ劣らぬ名演であるが、本演奏は、ライヴ録音ならではの畳み掛けていくような気迫や強靭な迫力が全体に漲っており、演奏の持つ根源的な力強さという意味においては、ノイマンによる随一の名演と言っても過言ではあるまい。

1990年代に入って、その技量を格段に向上させたNHK交響楽団も、ノイマンの統率の下、最高のパフォーマンスを発揮している。

音質は、名指揮者の来日公演の高音質での発売で定評のあるアルトゥスレーベルがマスタリングを手掛けているだけに、十分に満足できる良好な音質に仕上がっているのが素晴らしい。

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classicalmusic at 20:50コメント(2)ノイマン | スメタナ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年02月17日 09:16
ノイマン&NHK 響による本盤は残念ながら未聴。手兵チェコフィルとの両曲の演奏は秀逸で,<わが祖国>,スラヴ舞曲ともに秀麗な快演を聴かせてくれました。以前<わが祖国>と<スラヴ舞曲>のベストディスクについてお話しした機会がありましたが,私のお薦めはその折から若干変化しました。<わが祖国> はアンチェル (63),クーベリック(バイエルン盤)が双璧,そしてビエロフラーヴェクがそれに続く感じです。ノイマン(75)も秀演ですが,やや節回しが作為的なので,私はむしろライプチヒ盤の方に惹かれます。<スラヴ舞曲> はクーベリックとノイマン(85)が双璧といったところでしょうか。なお,ノイマンの来日公演ではアイザックスターンと共演したベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の名演が忘れられません。
2. Posted by 和田   2022年02月17日 10:46
話はそれますが、ノイマンでぜひ聴いてほしいのがドヴォルザークの管弦楽曲集です。曲目は『チェコ組曲』ニ長調Op.39、序曲『フス教徒』Op.67、序曲『我が家』Op.62、『ノクターン』変ホ長調Op.40及び『スケルツォ・カプリッチョーソ』Op.66の5曲で、いくらか古いセッションですが2005年のデジタル・リマスタリングによって瑞々しく鮮明な音質と臨場感が再現されています。ドヴォルザークの初期の作品になる弦楽合奏のための『ノクターン』はチェコ・フィルの弦の音色の美しさを堪能させてくれる小品です。弦の国と言われる伝家の宝刀をノイマンが巧みに引き出した、明るく艶やかで、しかも陰影豊かな表現は流石です。この曲にはドヴォルザーク特有の民族性はありませんが、ロマン派の抒情に満たされています。一方『チェコ組曲』ではポルカやフリアントの伝統的な舞踏のエレメントが使われていて、華やかな民族色をかもし出しているのが特徴です。フルートやコールアングレーなどの木管パートの際立ったソロも特筆されます。序曲『フス教徒』はこのCDに収められている曲集の中でも最も作曲技巧を凝らせた作品で、15世紀初頭に実在した宗教改革家ヤン・フスと彼に従った布教者達の劇的な物語のための音楽ですが、それはベートーヴェンの『エグモント序曲』に通じるものがあるでしょう。この曲は1883年に修復を終えたプラハ国民劇場こけら'落としのオープニング・セレモニーの折に初演されたそうですが、作品の性質上、程なくチェコ民衆の愛国心を煽る結果になったことは想像に難くありません。それは当時のオーストリアからの政治的重圧への彼らの抵抗でもあった筈です。こうした曲を本家の演奏で一度は鑑賞してみる価値がありますし、その力強さと一種の熱狂は格別のものがあります。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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