2012年06月20日
N響85周年記念シリーズ:ブラームス:交響曲全集/ヴォルフガング・サヴァリッシュ
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サヴァリッシュは、史上最年少でバイロイト音楽祭に登場するなど、きわめて才能のある指揮者として将来を嘱望されていたにもかかわらず、その後はかなり伸び悩んだと言えなくもないところだ。
膨大な録音を行ってはいるが、シュターツカペレ・ドレスデンとのシューマンの交響曲全集(1972年)以外にはヒット作が存在しない。
いい演奏は行うものの、他の指揮者を圧倒するような名演を成し遂げることが殆どないという、ある意味では凡庸と言ってもいいような存在に甘んじていたと言っても過言ではあるまい。
しかし、本盤に収録されたブラームスの交響曲全集は、目立った名演を殆ど遺していないサヴァリッシュとしては、シューマンの交響曲全集に次ぐ名全集と言えるのではないだろうか。
確かに、個々の交響曲の演奏に限ってみれば、いずれの交響曲についても他に優れた演奏があまた存在していると言えるが、全集全体として見ると、水準以上の名演が揃った優れたものと言えるところだ。
堅固な造型美と重厚かつ剛毅さを兼ね備えたいかにもドイツ風の硬派の演奏と言えるが、かかる芸風はブラームスの交響曲の性格に見事に符号していると言えるところであり、NHK交響楽団の渾身の名演奏も相まって、素晴らしい名全集に仕上がっていると言えるだろう。
交響曲第1番については、NHKホールのこけらおとし公演の記録ということであるが、その意味でも大変貴重な存在と言える。
そして併録の悲劇的序曲が各交響曲以上に圧倒的な超名演だ。
冒頭のたたきつけるような和音からして、これがあのサヴァリッシュかというほどのとてつもない強靭な迫力を誇っており、その後の気迫と生命力溢れる力演にはただただ圧倒されるのみである。
音質は、名指揮者の来日公演の高音質での発売で定評のあるアルトゥスレーベルがマスタリングを手掛けているだけに、1970年代前半のライヴ録音とは思えないほどの十分に満足できる良好な音質に仕上がっているのが素晴らしい。
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