2012年06月22日

N響85周年記念シリーズ:ヘンデル:「王宮の花火の音楽」序曲、モーツァルト:セレナード 他/ギュンター・ヴァント


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ヴァントと言えば、何と言ってもブルックナーの交響曲の至高の超名演が念頭に浮かぶ。

その他にも、シューベルト、ベートーヴェン、ブラームスの交響曲などにおいて比類のない名演の数々を成し遂げているところである。

本盤に収められた諸曲のうち、ベートーヴェンのレオノーレ序曲第3番については、こうしたヴァントの芸風に見事に合致した楽曲と言えるところであり、本盤の演奏についても、いかにもドイツ風の剛毅にして重厚な素晴らしい名演に仕上がっている。

NHK交響楽団も、1979年という録音年代を考慮すれば、ヴァントによる厳しいリハーサルの賜物であるが、実力以上のものを発揮した渾身の名演奏を行っている。

これに対して、本盤に収められたヘンデルの諸曲については、ヴァントとしてもあまり採り上げない楽曲であり、モーツァルトの諸曲は、後期3大交響曲集を除けば、必ずしもコンサートの演目に採り上げることが多いとは言い難かったモーツァルトの楽曲の中でも例外に属するとも言うべきヴァントが十八番としていた楽曲と言えるところだ。

これらの諸曲については、いずれも現在では古楽器奏法やピリオド楽器を使用した演奏が主流を占めているところであり、本盤の演奏はその意味でも異色の演奏と言っても過言ではあるまい。

頑固一徹とも言える職人肌の指揮者だけに、とりわけ、モーツァルトのセレナードなど、ヴァントの芸風とは水と油のようにも思われるところであるが、これが実に素晴らしい演奏なのだ。

演奏全体としての堅固な造型美は相変わらずであるが、一聴すると無骨とも言える各旋律の端々からは豊かな情感が滲み出しているところであり、血も涙もない演奏にはいささかも陥っていない。

本演奏のシンフォニックな重厚さは、モーツァルトを得意としたベームによる名演を想起させるほどであるが、優美さや愉悦性においては、本演奏はベームによる名演に一歩譲ると言えるのかもしれない。

それでも、前述のような古楽器奏法などを駆使した軽妙な演奏が主流を占める中で本演奏を聴くと、あたかも故郷に帰省した時のように安定した気持ちになるのは筆者だけではあるまい。

ヴァントの最晩年のインタビューの中で、とあるNHK交響楽団のオーボエ奏者が指揮室にいるヴァントを訪ねてきて、モーツァルトのセレナード「ポストホルン」の解釈についてジェスチャーで感動を伝えに来たとの発言があったと記憶している。

当該演奏は1982年4月のものであったようであるが、本盤の演奏も同様の解釈によるものであったのであろうか。

いずれにしても興味は尽きないところだ。

ヘンデルの両曲も、モーツァルトのセレナードについて述べたことと同様のことが言えるところであり、軽妙な演奏が一般化している現代でこそ存在価値のある素晴らしい名演である。

音質は、名指揮者の来日公演の高音質での発売で定評のあるアルトゥスレーベルがマスタリングを手掛けているだけに、十分に満足できる良好な音質に仕上がっているのが見事である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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