2012年06月27日
ポリーニのショパン:練習曲集(1960年盤)
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ポリーニによるショパンの練習曲集として有名なのは1972年のスタジオ録音(DG)であるというのは論を待たないところだ。
もっとも、有名ではあるが、当該演奏については評価が大きく分かれると言える。
確かに、技量という意味においては卓越したものがあると言えるところであり、おそらくはあらゆるピアニストの中でも最も完璧にショパンの練習曲集を音化するのに成功した演奏とさえ言えるのではないだろうか。
もっとも、聴きようによってはメカニックな機械じかけの演奏のようにも感じられるところであり、同練習曲集に込められた詩情や豊かな情感が犠牲になっているという批判も、あながち根拠がないものとは言えないところである。
ポリーニによるショパンの楽曲の演奏については、その後に登場したバラード集やスケルツォ集、前奏曲集、ノクターン集などにおいても同様のことが言えるところであり、技量においては完璧、しかしながら、その内容においてはいささか疑問符を付ける者も多く存在していると言わざるを得ないところだ。
このように、ポリーニのショパン演奏については、賛否両論が渦巻いているとも言えるところであるが、ショパン国際コンクール優勝直後にスタジオ録音された本演奏は素晴らしい。
もちろん、卓越した技量を披露している点においては、後年の演奏と変わりがないところであり、その抜群のテクニックの凄さには唖然とさせられるほどである。
しかしながら、本演奏はそれだけにはとどまっていない。
本演奏には、各曲のトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫が全体に漲っているところであり、音楽をひたすら前進させていこうという鬼気迫るような強靭な生命力に満ち溢れている。
かかる強靭な迫力は聴いていて手に汗を握るほどであり、ショパン国際コンクールにおいて満場一致で優勝したのは当然のことであると思われるところだ。
さすがのポリーニも、本演奏のような気迫や生命力を、その後の演奏においても引き続き持ち続けるのは困難であったとも言えるところであり、その後は約10年にわたって対外的な演奏活動を休止したのは周知のとおりである。
音質は、1960年のスタジオ録音であるが、ステレオ収録ということもあって、十分に満足できる水準である。
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