2012年07月02日
カラヤン&ベルリン・フィルのアルビノーニのアダージョ/パッヘルベルのカノン
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本盤には、アルビノーニのアダージョやパッヘルベルのカノンとジーグ、ボッケリーニの小五重奏曲といったバロック音楽と、かかるバロック音楽にインスピレーションを得て作曲された近現代の名作であるレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲が収められている。
カラヤンは、いかなる管弦楽曲の小品であっても、いささかの手抜きをすることなく、交響曲やオペラなどの大作に接するのと同様の真摯な姿勢で演奏に臨んだが、本盤のこれらの楽曲の演奏においても、そうしたカラヤンの真摯な姿勢を十分に伺い知ることが可能な圧倒的な名演に仕上がっている。
本盤の各楽曲の演奏は1969年であるが、これは正にカラヤン、そしてベルリン・フィルの全盛期。
かかる全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルの演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていた。
カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、流麗なレガートを施すことによっていわゆるカラヤン・サウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。
本盤に収められた各楽曲の演奏においてもそれは健在であり、どこをとってもいわゆるカラヤン・サウンドに満たされた極上の美演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。
そして、これらの各楽曲におけるカラヤンの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さは筆舌に尽くし難いものがあり、正に本盤に収められた各楽曲の演奏は、あらゆる意味で非の打ちどころがない圧倒的な超名演である。
それにしても、カラヤンのような大指揮者が、このような管弦楽曲の小品を録音することについては、いわゆるアンチ・カラヤン派のファンからはセールスマンであるとか、クラシック音楽の品位を落とすとの批判も十分に予測されるところである。
それには、とある影響力の大きい某音楽評論家や、某音楽評論家の腰巾着のような各界各層の有識者の罵詈雑言が大きく影響していると思われるが、筆者としては、交響曲やオペラのような大作であれ、ポピュラリティを獲得している管弦楽曲の小品であれ、その価値には大差はないと考えており、むしろ、カラヤンのような大指揮者が、身を持ってそれを多くのクラシック音楽ファンに示すとともに、いかなる楽曲に対しても手抜きをせずに真剣勝負で演奏に臨んだ真摯な姿勢に、心から敬意を表するものである。
本盤については(それぞれの楽曲が別の楽曲との組み合わせで発売されている)、リマスタリングやSHM−CD化等が施されるなど、高音質化の不断の取組が行われてきたが、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化が行われることによって、従来CD盤をはるかに凌駕するおよそ信じ難いような圧倒的な高音質に生まれ変わった。
本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の艶やかな鮮明さや臨場感にはただただ驚愕するばかりであり、あらためて当該シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、カラヤン&ベルリン・フィルの全盛期の至高の超名演を、現在望み得る最高の高音質を誇るシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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