2012年07月01日
バレンボイム&ブーレーズのリスト:ピアノ協奏曲第1番&第2番
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これは素晴らしい名演だ。
現代を代表する最高のピアニストの1人でもあるバレンボイムが、リスト生誕200年を記念して満を持して臨むリストのピアノ協奏曲第1番及び第2番の録音であり、それだけにその覚悟と自信のほどを伺い知ることが可能な圧倒的な名演に仕上がっている。
何よりも、バレンボイムの音楽の構えが極めて大きい。
そしてその骨太の音楽づくりは、演奏をスケール雄大なものにするのに大きく貢献している。
超絶的なテクニックにおいてもいささかも不足はないところであるが、それでいて巧過ぎるなどといったいわゆる技巧臭を感じさせないのが何より素晴らしい。
強靭で叩きつけるような打鍵は圧倒的な迫力を誇っていると言えるし、他方、繊細な抒情的表現においても申し分がないものがあり、その表現力の桁外れの幅の広さには唖然とさせられるほどだ。
このように、スケールの雄大さ、技巧臭をいささかも感じさせない内容の豊かさ、そして表現力の幅の広さなどを駆使した結果、とかく技量一辺倒で薄味な演奏が多いリストのピアノ協奏曲を極めて内容豊かで奥深いものに昇華させ、殆どベートーヴェンのピアノ協奏曲の域にまで引き上げているのに成功したと言っても過言ではあるまい。
いずれにしても、バレンボイムによる本演奏は、リストのピアノ協奏曲のあらゆる演奏の中でも、最も奥深い内容を有した至高の名演奏と言ってもいいのではないだろうか。
このような圧倒的で彫りの深いバレンボイムのピアノを下支えしているのが、ブーレーズ&シュターツカペレ・ベルリンによる名演奏である。
徹底したスコアリーディングに基づいて、楽想を精緻に描き出していくというブーレーズならではのアプローチは本演奏においても健在である。
バレンボイムの彫りの深いピアニズムに触発された点も多分にあるとは思われるが、かつてのブーレーズの演奏に顕著であった冷徹さは薬にしたくもなく、むしろ各フレーズの端々からは豊かな情感が滲み出してきているところであり、演奏全体に独特の潤いと温もりを付加するのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
アンコールとして収められたコンソレーション第3番や忘れられたワルツ第1番も、バレンボイムならではの雄渾なスケールと重厚さ、そして奥行きのある彫りの深さを感じさせる素晴らしい名演だ。
音質は、ピアノ演奏と相性が良いSHM−CD盤であることもあって、バレンボイムのピアノ・タッチが実に鮮明に捉えられており、素晴らしい鮮明な高音質である。
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