2012年06月30日
ポリーニのベートーヴェン:ディアベッリ変奏曲
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1998年9月4Dデジタル録音。
巨匠ポリーニの素晴らしい想像力と表現力をもって、ベートーヴェン晩年の独自の世界が見事に表現されている。
作品の本質と情緒を余すところなく引き出した演奏で、熟練の技術を見せつける。
完璧なテクニックと克明をきわめたバランス配分により、構造意識の権化のような凄みあるベートーヴェンを聴かせてきたポリーニだが、今回の“ディアベッリ”では、作品の“性格変奏的”ともいえるユニークな特質を十分に踏まえた、表情豊かな演奏に仕上がっているのがポイントとなっている。
ポリーニ自身、「今の私のベートーヴェンは作品と対峠した歴史と蓄積から生まれたもので、当然刻々と変わってきたものです」と語っているように、構造はもちろん、性格の描き分けにも重きを置いたそのアプローチは、副次パートや微細な部分に至るまで徹底的に練りあげられているのが特徴で、通常の変奏曲概念から大きく脱皮した、この特異な作品の解釈法としてはまさに空前絶後。
晩年のベートーヴェン作品ならではの散文的な音響が、実は非常に高密度な構築性を伴ったものであることを実感させてくれるとても奥の深い演奏である。
若いポリーニは本当に素敵だった。
その斬新さは未だ光を失っていない。
だがここに聴く最近のポリーニは更に素晴らしい。
技巧も十分、スケール大きく、深みと豊かさと温かさに満ちた演奏でこの曲の魅力を明らかにしてくれた。
この成熟こそがポリーニらしさではないだろうか。
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