2012年07月05日

ピリスのショパン:前奏曲集、シューベルト:楽興の時


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本盤にはショパンの「前奏曲集」とシューベルトの「楽興の時」が収められているが、いずれも素晴らしい名演だ。

特に、シューベルトの「楽興の時」については、同曲演奏史上でもトップの座を争う至高の超名演。

「楽興の時」は、「即興曲集」と並んでシューベルトのあまたのピアノ作品の中で最も人気の高いものであるが、「即興曲集」のように作曲者の行き場のない孤独感や寂寥感が込められた奥深い内容を有するものというよりはむしろ、楽曲の標題のとおり愉悦性とともに、詩情に満ち溢れた美しさが際立った作品である。

ピリスによる本演奏におけるアプローチは、同曲の詩情に満ち溢れた旋律の数々を、瑞々しささえ感じさせるような透明感溢れるタッチで美しく描き出していくというものだ。

その演奏は純真無垢とさえ言えるものであり穢れなどはいささかもなく、あたかも純白のキャンバスに水彩画を描いていくような趣きさえ感じさせる。

そして、そのような美しさが、いわゆるスコアに記された音符の表層を取り繕っただけの薄味のものではなく、一音一音に独特のニュアンスが込められるとともに、どこをとっても格調の高さを失っていない点が素晴らしい。

また、同曲においても時として聴くことが可能な寂寥感の描出についても、お涙頂戴の陳腐な哀嘆調に陥るということはいささかもなく、ピリスならではの気品を感じさせるのが見事である。

正にピリスによる本演奏は、シューベルトの「楽興の時」の演奏の理想像の具現化と言えるところであり、今後とも本演奏を超える名演を成し遂げることは至難の業だ。

一方、ショパンの「前奏曲」も名演だ。

ただ、同曲については、かつてのルービンシュタインをはじめ海千山千の大ピアニストが素晴らしい名演を成し遂げており、ピリスによる本演奏を随一の名演とするのは困難である。

もっとも、本演奏においては、ピリスならではの詩情に満ち溢れた清澄な美しさに加えて、女流ピアニスト離れした強靭な打鍵による重厚な迫力も垣間見せるなど、各曲の描き分けが実に巧みであり、本演奏を名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

音質は従来CD盤でも十分に満足できる高音質であったが、今般のSHM−CD化によって、ピリスのピアノタッチがより鮮明に再現されるとともに、音場が幅広くなったように思われる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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