2012年07月09日

バルビローリ&ニュー・フィルハーモニアのマーラー:交響曲第6番「悲劇的」(1967年ライヴ)


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バルビローリはマーラーを得意としたが、「第6」は、既にベルリン・フィルとのライヴ録音、ニューフィルハーモニアとのスタジオ録音が発売されており、いずれ劣らぬ名演であった。

本盤の演奏は、発売されたものとしては3種目ということになるが、ライヴならではの熱気と迫力に満ち溢れた名演だと思う。

第1楽章の冒頭から圧倒的な音塊が迫ってくる。

シベリウスやイギリス音楽の演奏での抒情的で温厚篤実な指揮ぶりはどこにも見られない。

第2楽章は、いかにもバルビローリらしい抒情的表現があらわれるが、終結部の盛り上がりの急速なアッチェレランドなど、同じオケを指揮したスタジオ録音とは別人のような燃えるような指揮ぶりを見せる。

第3楽章は、重量感溢れる巨象の進軍。

終楽章は、圧倒的な音のドラマであり、終結部の熱狂的な拍手もむべなるかなと思わせる。

ベルリン・フィルとのライヴと同様に、バルビローリは第2楽章と第3楽章を入れ替えて演奏しているが、同じオケを振ったスタジオ録音では入れ替えていない。

この一貫性のなさは謎であるが、筆者としては、入れ替えない方が終楽章の悲劇がより際立つと思うのだが、このあたりは、好みの問題もあるのかもしれない。

しかし総じて、大物が熱を入れたライヴならではの大演奏で、聴きごたえ十分。

この曲やバルビローリのファンはぜひ一聴をお薦めしたい。

音質は、この当時のライヴ録音としてはかなり良好であり、歴史的な名演を良好なステレオ録音で鑑賞できる。

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classicalmusic at 21:16コメント(4)マーラー | バルビローリ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年03月14日 09:25
4 バルビローリはマーラーを得意にしていた指揮者の1人で,3番 (ハレ管),4番 (BBC響),5・6番 (ニューフィル)そして9番 (ベルリンフィル)等は傑出した名演でした。特に6番はバーンスタインやクーベリックの高速発進に比し,巨像の歩みの様にスローテンポで始まり私好みです。ただマーラーが最後まで悩んだ同オーケストラとのスタジオ録音盤の様な第2楽章と第3楽章の入れ替えはいただけない。本盤全曲は未聴ですが,そうなっていますか? ベルリンフィルとのライヴもまたそうでしょうか。更にライヴ録音のため録音がややこもり気味なのも残念でした。
2. Posted by 和田   2022年03月14日 13:28
バルビローリにとっても同曲の唯一のスタジオ録音は、2種のライヴ録音とは、その演奏の性格が大きく異なっています。そもそもテンポが大幅に遅くなっています。トータルの時間でも10分以上の遅くなっているのは、前述のライヴ録音盤がいずれも約73分であることに鑑みれば、大幅なスローダウンと言えるでしょう。それだけに、本演奏におけるバルビローリの感情移入の度合いには尋常ならざるものがあります。バーンスタインやテンシュテットなどに代表されるドラマティックな演奏や、はたまたブーレーズなどによる純音楽に徹した演奏などとは異なり、滋味豊かな情感に満ち溢れるとともに、粘着質とも言うべき濃厚な表情づけが特徴です。ここぞという時のトゥッティにおける強靭な迫力にもいささかも不足はありませんが、そのような箇所においても独特の懐の深さが感じられるのが、バルビローリによるマーラー演奏の性格をより決定づけているとも言えるでしょう。本演奏でもかかるアプローチは健在であり、ゆったりとしたテンポによるこれほどまでの濃厚で心を込め抜いた演奏は、かのバーンスタイン&ウィーン・フィルによる超名演(1988年)ですらすっきりとした見通しの良い演奏に感じさせるほどであり、聴き終えた後の充足感には曰く言い難いものがあります。なお、バルビローリは、近年ではマーラーの最終的な決定を尊重するという意味で主流になりつつありますが、当時としては珍しい、スケルツォ楽章(第2楽章)とアンダンテ楽章(第3楽章)を入れ替えるバージョンで、1966年ライヴ録音盤と1967年ライヴ録音盤では演奏を行っていましたが、スタジオ録音では従来どおりの入れ替えないバージョンで演奏を行っているのは実に興味深いです。あと海賊盤ですがベルリン・フィルとの3番のライヴ、更に生涯最後のライヴとなったシュトゥットガルト放送響との2番は超名演で正規盤での発売が待たれます。
3. Posted by 小島晶二   2022年03月14日 21:25
そうでしたか。私は学生時代6番正規盤CDの第2,第3楽章を入れ替えてカセットテープにコピーした記憶があります。何れにしても,ふたつのライヴ盤とも入れ替えバ-ジョンでしたか (残念)。バルビロ-リの6番アンダンテは崇高な美的情感に溢れた秀演で,テンシュテットの緊張感と盛り上がりを演出した演奏に勝るとも劣らない出来でした。ブラ-ムスやシベリウスを聴いてみて感じる事ですが,この人もライヴの指揮者かも知れませんね。
4. Posted by 和田   2022年03月14日 22:03
どうやらバルビローリもライヴの指揮者のようです。お知らせしたようにベルリン・フィルとのマーラー3,最後のライヴとなったシュトゥットガルト放送響との「復活」を聴くと、尚更そのように思えてなりません。というかこの両曲が未だに正規盤未発売とは、空いた口もふさがりません。そういえばクレンペラーの最後の「復活」ライヴも正規盤未発売とは、やはり海賊盤漁りが止められません。この3点は超絶的な名演奏なので、レコード会社はテンシュテット&ベルリン・フィルの「悲劇的」も含め万難を廃して発売するべきだと声を大にして言いたいです。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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