2012年07月10日
ラトル&ベルリン・フィルのリスト:ファウスト交響曲
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若き39歳のラトルが、初めてベルリン・フィルと録音した1枚。
今は芸術監督の座を譲ったが、世界をリードする組み合わせとなったラトル&ベルリン・フィルの1994年の初顔合わせであり、ラトル飛躍の原点となった録音。
リストのファウスト交響曲は、名曲とされるわりには録音の数も限定的であり、ポピュラリティーを獲得しているとは言えない。
そのような曲をベルリン・フィルとの最初の録音に選んだラトルの並々ならぬ自信のほどが伺える(数年前にベルリン・フィルの自主レーベルにより、87年のマーラーの「第6」のライヴ盤が発売されたことから、厳密に言うと最初の録音ではない)。
実にクリアなディテール、曖昧さのない響き、シャープなリズムで、音楽の肥大さなどまったく感じさせない見事な演奏だ。
第1楽章と第2楽章は非常に丁寧な演奏というイメージだ。
全く対照的な性格を有する両楽章であるが、ラトルの丁寧なアプローチが、両楽章の描き分けを見事に成し遂げるということに繋がっている。
第3楽章になると、ここでラトルはエンジン全開し、ベルリン・フィルを豪快に鳴らすなど、これまでの鬱憤を全て晴らすかのような圧倒的な迫力で曲想を描いていく。
終結部の合唱も実にうまく、ザイフェルトの独唱とあいまって、感動的にこの大曲を締めくくる。
演奏後の拍手喝采も当然のことと思われる。
ラトルは、その後、ベルリン・フィルの首席に就任し、一時は低迷した時期もあったが、2007年のマーラーの「第9」あたりから、漸く持ち前の才能が開花し、ラトル&ベルリン・フィルの黄金時代の幕開けが始まっている。
本盤の録音当時、ラトルはまだ39歳であるが、現在の栄光を予見させてくれるような名演である。
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