2012年07月11日
クーベリック&ウィーン・フィルのブラームス:交響曲第3番、第4番
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英デッカのステレオ黎明期を代表する素晴らしいブラームス全集からの分売。
クーベリックにはバイエルン放送響との新盤もあるが、美しいのは断然こちらの旧盤だ。
クーベリックとウィーン・フィルの相性は決して良くなかったと言われる(たとえばスメタナの「わが祖国」など)が、本盤を聴く限りにおいてはそのような不安を感じさせることはなく、見事な名演を成し遂げている。
バリリ四重奏団の一員でもあったヴァイオリニストのオットー・シュトラッサーの著書によれば、この頃(1956〜57年)のクーベリックは自己主張が弱くて物足りない指揮者であったそうだが、少なくともこれらの演奏からそれは伺えない。
否、むしろ、主張しすぎないからこそ、このような名演が生まれたとも言えそうである。
「第3」は、ブラームスの交響曲の中でもスケールが小さい曲だけに、まとめるのが困難な曲であるが、クーベリックは重厚な中にブラームスならではの渋い抒情美を兼ね備えるという、まさに硬軟併せ持つ名演奏を行っている。
第1楽章は提示部の繰り返しを行っているが、それが決して嫌ではなく、どの箇所も血の通った熱い演奏。
第2楽章や第3楽章の苦味のある人生の諦観を感じさせるような抒情美の描出はさすがだし、第4楽章のスケールも雄大である。
「第4」の第1楽章は11分で駆け抜けるという、演奏史上でも最速の演奏の部類に入るが、決して性急な印象を与えることはなく、歌うべきところは心をこめて歌い抜くなど、名人の一筆書きのようなとてつもない名人芸。
第2楽章の優美さも特筆すべきであるし、終楽章の決してごちゃつかない整理されたパッサカリアの表現も素晴らしい。
1950年代の録音ではあるが、英デッカの名録音も、本盤の価値を大いに高めている。
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