2012年07月15日
ミュンヒンガー&ウィーン・フィルのモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲、クラリネット協奏曲
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ウィーン風の優雅な、類い稀なる極上の美演である。
古き良き時代の残照が未だ残っていた1960年代のウィーン・フィルに、同オケの往年のソリストが最高のパフォーマンスを示している。
ミュンヒンガーがウィーン・フィルと録ったモーツァルトはその数決して多くはない。
典雅な趣きのフルートとハープのための協奏曲はウィーン・フィルの音色と相俟って素晴らしい出来上がり、クラリネット協奏曲も本来味わうべき奥行きこそ乏しいけれどウィーン・フィルの音色が別の味に補った結果となってこれ又素晴らしい。
フルートとハープのための協奏曲は、相性抜群のフルートとハープの絡み合いが醸し出す高貴かつ優美な旋律美が魅力のモーツァルト中期の傑作であるが、トリップとイェリネクのソロはウィーン訛りを感じさせるほどの美しさの極みであり、ウィーン・フィルと合わせた三者のハーモニーは、まるで天女が奏でる竪琴の調べと言った趣きだ。
特に遅いテンポによるフィナーレは絶品で、オケも含め、典雅で繊細、匂うような上品さに充ち溢れ、天国的なまでに美しく、心静かにモーツァルトの音楽に浸ることが出来る。
もちろん初めの2つの楽章に対しても同じことが言える。
クラリネット協奏曲は、モーツァルト最晩年の傑作であり、澄み切った秋空のようなどこか抜けきった諦観が持ち味であるが、プリンツの絶妙のソロは、そうしたモーツァルト最晩年の至高、至純の境地を見事に描出している。
ミュンヒンガーは、特段の個性があるわけではないが、オーソドックスな指揮ぶりで、ウィーン・フィルや各ソロ奏者に最高の演奏をさせており、その意味では、見事な合わせ方をしている。
これだけの名演奏を聴かされると、ミュンヒンガーがモーツァルトの交響曲をウィーン・フィルと遺して欲しかったと思わざるを得ない。
SHM−CD化によって、音質のグレードは一段とアップした。
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