2012年07月21日
ジュリーニ&ベルリン・フィル、エルンスト・ゼンフ室内合唱団のロッシーニ『スターバト・マーテル』、ガブリエリ、ジェミニアーニ
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1978年9月13日 ベルリン、フィルハーモニー・ホールに於けるライヴ(ステレオ)録音。
ジュリーニは決してレパートリーの広い指揮者とは言い難いが、その分、レパートリーとした曲については完成度の高い名演となることが多い。
ジュリーニがレパートリーとした宗教曲は、バッハの《ミサ曲ロ短調》やブラームスの《ドイツ・レクイエム》、モーツァルト、ヴェルディ、そしてフォーレの「3大レクイエム」などが掲げられるが、ジュリーニが指揮した宗教曲の最高峰は、何と言ってもロッシーニの最高傑作の呼び声の高い《スターバト・マーテル》ということになるのではなかろうか。
《スターバト・マーテル》は、キリストの受難を嘆き悲しむ聖母マリアへの同情と神への祈りを込めてロッシーニが50歳のときに書かれた作品。
演奏によっては妙に軽い場面も出てくる曲であるが、ジュリーニは重みのある独特のカンタービレによって、音楽の沈痛な美しさを見事に引き出している。
ジュリーニは同曲をフィルハーモニア管弦楽団とスタジオ録音しているが、天下のベルリン・フィルを指揮した本盤こそ、ライヴならではの熱気も相まって、随一の名演と高く評価したい。
当演奏では、エルンスト・ゼンフ室内合唱団(現エルンスト・ゼンフ合唱団)を率いており、さらなる敬虔な美が追求されている。
ジュリーニの決して奇を衒うことのない真摯で誠実なアプローチと、同国人であるロッシーニへの深い愛着が、これだけの名演を生み出したと言うべきであり、独唱陣も合唱も、そしてベルリン・フィルもジュリーニの指揮の下、これ以上は求められないほどの最高のパフォーマンスを示している。
併録のガブリエリやジェミニアー二の諸曲も名演であり、一晩のコンサートをそのまま2枚のCDに収録ということで、導入となる1曲目と2曲目には、ブラス・ファンにもおなじみの曲、8声の金管アンサンブルによるジョヴァンニ・ガブリエリの「ピアノとフォルテのソナタ」と「第7旋法によるカンツォーナ」が収められ、3曲目には、フランチェスコ・ジェミニアーニのト短調の合奏協奏曲が収録されている。
金管合奏で開始され、哀しみに彩られた美しい弦楽合奏でメインの『スターバト・マーテル』への心の準備をするという、まるで教会での演奏を思わせるようなプログラミングは、イタリアの音楽史を辿りながらも、通常、「イタリアの音楽」という言葉からすぐに思い浮かぶイメージとは正反対の精神の落ち着きと深い感動を呼ぶのがいかにもジュリーニらしい。
録音は1970年代後半のライヴとしては十分に合格点を与えることができる。
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