2012年08月08日
ポリーニのショパン・リサイタル(1968年盤)
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本盤は、ポリーニがショパン国際コンクール優勝後、表舞台から一時的に姿を消し、自己研鑽を積んでいた時期の録音である。
したがって、ポリーニの若き日の記録ということになるが、既にここには、ポリーニの特徴である研ぎ澄まされた卓越したテクニックや、透明感溢れる強靭なタッチが見られる。
ポリーニの演奏のこうした非の打ちどころのない卓越したテクニックについては、絶賛する者もいる半面、非人間的であたたかみがないとか、あるいは表層的で浅薄という批判が一部に根強くあるのは否めない事実である。
しかしながら、本盤の演奏には、そうした一部にある批判をも吹き飛ばしてしまうような圧倒的な集中力や勢いがある。
ここでは、溌剌とした情感と冴えたテクニック、そして熟考された選曲の隅々までに神経が行き届いた、見事に音楽的な若いポリーニのショパンが聴かれる。
卓越技巧は言うに及ばず、理詰めと誤解されがちな完璧な演奏の合間に際立つ彼の音楽性は、正しく彼の歌い方であり、そこに彼の情緒豊かな感性を見る。
いずれも、後年にスタジオ録音を行うことになる諸曲を収めているが、後年の演奏とは異なり、どの演奏にも、切れば血が出るような生命力に満ち溢れている。
卓越した切れ味鋭いテクニックや、力強い、そして透明感溢れる力強い打鍵は、既にこの演奏の随所に伺えるものの、若さ故の生命力溢れる激しい燃焼度が、決してきれいごとではない、ポリーニの、引いてはこれらの諸曲を作曲したショパンの荒ぶる魂を伝えることになり、我々聴き手に深い感動を与えることになるのだろう。
ポリーニは、前述のように、本盤の後、数々のショパンの楽曲を録音することになるが、本盤こそ、ポリーニのショパンの屈指の名演と評価したい。
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