2012年07月29日
ジュリーニ&ベルリン・フィルのドヴォルザーク:交響曲第7番、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(チョン・キョンファ)ほか
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1973年5月10日&11日 ベルリン、フィルハーモニーザールに於けるステレオ(ライヴ)録音。
ジュリーニにとって1970年代はもっとも脂が乗っていた時期。
加えて、ベルリン・フィルも、名うてのスタープレーヤーが勢ぞろいした、力量的にも史上最高の状態にあった。
したがって、このような両者が組んだ演奏が悪かろうはずがない。
特に超名演と言えるのははじめの2曲だ。
ムソルグスキーの歌劇『ホヴァンシチナ』前奏曲(モクスワ河の夜明け)は、我々はムラヴィンスキーの名演を知っているが、本演奏は、あのように引き締まった緊張感を強いるようなものではない。
むしろ、明朗なイタリアの明るい太陽に照らされるようなイメージであるが、美しさにおいては、ムラヴィンスキーの名演にも引けを取らないと思う。
比較的ゆったりとしたテンポによる曲の進行も、楽曲の持つ美しさを丁寧に描き出していくのに大きく貢献している。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も素晴らしい。
若き日のチョン・キョンファを温かくリードしつつ、ゆったりとしたテンポで、隅々に至るまで優美に曲想を描いていく。
しかも、高貴な気品にも満ち溢れており、ジュリーニがこの曲をスタジオ録音しなかったのが不思議なくらい、楽曲を自家薬籠中のものにしている。
ドヴォルザークの「第7」も名演であるが、同時期にクーベリックが同じくベルリン・フィルを指揮して超名演を成し遂げており、それと比べられてしまうのが少々不利ではある。
第1楽章など、ベルリン・フィルとしては珍しいようなアンサンブルの乱れも見られるが、第2楽章、第3楽章と順次調子を上げ、特に素晴らしいのは終楽章。
ベルリン・フィルの圧倒的な合奏力をベースにして、地鳴りがするような重量感あふれる名演を成し遂げている。
クーベリックのような民族色を加味すると、どうしても及ばない面はあるものの、総体として、名演と評価するのに躊躇しない。
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