2012年07月30日
テンシュテット&ロンドン・フィルのマーラー:交響曲第1番「巨人」(1990)/グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲(1981)
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マーラーは、1990年1月28日 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールに於けるステレオ(ライヴ)録音。
テンシュテットは、癌を発症して復帰した後は、一回一回の演奏会で命がけの鬼気迫る演奏を行った。
本盤のマーラーも、1990年の録音であり、そうした鬼気迫る演奏の一つであるが、同じ時期のシカゴ交響楽団との演奏と比較しても、オーケストラの技量はやや劣るものの、気心の知れた手兵であるだけに、演奏自体はこちらの方が数段上の出来ではないだろうか。
ロンドン・フィルとのライヴでは1985年に次いで2種目の「巨人」となるが、遅めのテンポで、細部まで抒情的に歌い込んだ美しい演奏。
何時にも増してテンポを細かく揺らし、細部の表現にこだわり音楽に没入していくが、テンシュテットの精妙な表現と一体化するロンドン・フィルが見事で、冒頭から緊張感が途切れることなく、音楽はどこまでも自然に流れ高揚する。
テンポは激しく揺れ動くとともに、粘ったリズムや雷鳴のようなティンパニ、耳をつんざくような鋭い金管の音色、生への妄執とも言うべき憧れの調べなど、我々がマーラーの交響曲第1番に望むすべての要素を兼ね備えていると言えるだろう。
これに比べるとシカゴ響とのライヴは、若干表現が硬く感じられるほど。
正直、また「巨人」かという感じもあったが、このCDはテンシュテットの「巨人」の中ではもっとも内容の充実した演奏だと思った。
テンシュテットのマーラーの「第1」の中で、のみならず過去の様々なマーラーの「第1」の名演の中でも、トップの座を争う超名演であると評価したい。
「ルスランとリュドミラ」序曲は、ムラヴィンスキーの超絶的名演がある以上、どの演奏を持ってしても物足りないが、ムラヴィンスキーの超名演を度外視すれば、これもなかなかの名演だと思う。
本盤の惜しい点は録音が、残響が多すぎたり楽器のバランスが悪かったりするなど、いささか焦点がぼけている点。
しかし、それも高い次元での話であり、ぜいたくを言わなければ十分に満足出来よう。
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