2012年08月19日
ジンマンのベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
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2000年5月、トーンハレにおけるデジタル録音。
ベーレンライター版を使用して話題になった交響曲全集に続く快挙。
今回も古典派時代本来の音楽づくりを志向している点では、交響曲のときと基本方針は同じである。
現代楽器の指揮者が、古楽器演奏の影響を受けて妙に小賢しくふるまうのはいやなものだが、ラトルとジンマンはその限りに非ずだ。
前者はまだ未完成だが、表現力は実に多彩、後者はすでに完成されており、現代楽器でこんなに見事な新スタイルのベートーヴェンをやられては、古楽器指揮者の出る幕はない。
2000年に刊行されたノルベルト・ゲルチュ校訂によるヘンレ版を使用し、手兵のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団に、シュヴァイツァー室内合唱団、オルゴナソヴァ(S)、ラーション(Ms)、トロスト(T)、ゼーリヒ(Bs)を率いて時代感覚あふれる演奏を聴かせてくれる。
モダン楽器オケに、ピリオド・アプローチを導入、ハイブリッドな古典派サウンドを創造するジンマンのいつもの手法だが、響きやフレージングのほかにも、たとえば通常の演奏とは大きく異なる快速なテンポ設定も注目されるべきポイントである。
ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」と言えば、スケールの大きい壮麗な演奏が幅をきかせているが、ジンマンはそうしたこれまでの常識を見事に覆し、フレッシュで軽妙なタッチで見事な名演を成し遂げた。
古楽器演奏や奏法を旨とする指揮者の演奏は、とかく学究的に陥り、感動とは程遠いものになる嫌いがあるが、ジンマンにはそのような心配は御無用。
冒頭からラストまで、実に感動的に「ミサ・ソレムニス」を味わうことができた。
クレンペラーの対極にある表現であるが、かつてのガーディナーの表現を推し進めた爽やかな演奏で、ジンマンの一連のベートーヴェンの中でも最高の出来ばえだと思う。
これは、現代における「ミサ・ソレムニス」の規範となるべき名演と言うことができるのではなかろうか。
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