2012年08月09日
プレートル&ウィーン響のブルックナー:交響曲第8番
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2008年にプレートルがウィーン・フィルのニューイヤーを振った約3ヶ月後のライヴ録音。
プレートルの快進撃はとどまるところを知らない。
このブルックナーも名演で、異色かもしれないが飽きさせずに一気に大曲を聴かせるプレートルの手腕は流石。
演奏は、巨匠プレートルの独特の芸風がはっきりと刻印されたもので、通常の質実剛健なブルックナー演奏とは間逆のスタイルで大成功していると言えよう。
冒頭から速いテンポで開始されるが、要所ではテンポを微妙に変化させてゆったりとした表情を見せるなど一筋縄ではいかない。
第3楽章になると一転して、一音一音をいとおしむように情感溢れる演奏を行う。
終楽章は、最強奏の金管やティンパ二が印象的だが、決して無機的になっていない。
これだけテンポが目まぐるしく変化する個性溢れる演奏をしても、全体としての造型にいささかの狂いもないのは、プレートルがブルックナーの本質を掴み取っているからに他ならない。
ウィーン交響楽団は、ウィーン・フィルがあるせいで、いわれのない差別を受けている(?)が、機能的にはウィーン・フィルを凌ぐ柔軟性を持っている。
そのために指揮者が変わるとオケも音ががらりと変わるという器用さが災いしてウィーン交響楽団独特のトーンというのを持たずにこんにちまで来たような印象がある。
換言すれば個性を持たないことでウィーン・フィルに対抗できるレパートリーに対応してきた、ということになろう。
ここで聴かれるプレートルのブルックナーもおよそ、ウィーン・フィルという役者でいえば大御所では、ここまで大胆に今までのイメージを変える演奏をしてはくれなかっただろう。
音質も流石に大変質感のある超優秀デジタル録音(これに比べると今のDGなどは情けない限り)で、豊満なホールの響きを良くとらえており、特に低弦は運弓が見えそうな質感がある。
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