2012年08月18日
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ響のマーラー:交響曲第8番/第10番-アダージョ
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ティルソン・トーマスによるマーラー交響曲全集の有終の美を飾る圧倒的な名演である。
現在のところ、最高の「第8」だと思うし、筆者としても、「第8」を聴いてこれほどの充足感を覚えたことは殆ど記憶がないほどだ。
アンサンブルを磨き上げて、総譜の情報を細大漏らさず拾い上げることを主眼にしているが、現在望みうる最高水準とも言える優秀な録音の助けもあって、立ち現れてくる曲の威容の見事なこと。
堂々たるイン・テンポを基調としつつ、ここぞという時の圧倒的な盛り上がりや、抒情的な箇所の天国的とも言うべき極上の美しさ。
しかし、単なるイン・テンポ主義ではなく、この全集の随所で見られた、ロマン派への先祖返りのような大胆なアゴーギクがここでも聴かれる。
合唱団や独唱もいずれも抜群の巧さで、トーマスの卓越した統率力の下、オーケストラともども最高のパフォーマンスを示している。
第1部最後の追い込みなど、もの凄い激しさにもかかわらず一糸乱れず、第2部も聴き手を飽きさせずに引きつける手腕は素晴らしい。
最後の「神秘の合唱」で、他パートが休止して女性パートだけが残る箇所がある。
最近ではコリン・ディヴィス盤、古くはデ・ワールト盤も、このスコア通りの効果を引き出していた。
本トーマス盤は録音のすばらしさや合唱の実力なのか、ここでよりいっそう感動的な瞬間をもたらしている。
「第8」の「よりスタンダードな解釈のSACD盤」としては、コリン・デイヴィス盤を薦めるが、演奏の燃焼度、聴後の充実感ではティルソン・トーマス盤を採りたい。
「第10」は、あのシノーポリの怪演にも匹敵するスロー・テンポであるが、演奏の性格は全く異なる。
苦みもアイロニーも兼ね備えた素晴らしい純音楽的な美演、名演である。
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